2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08037
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 朗 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 腎臓形成 / Sallファミリー遺伝子 / Wntシグナル / 転写活性 / Zincフィンガータンパク / ノックアウトマウス / ペリセントロメリックヘテロクロマチン |
Research Abstract |
Zinc fingerタンパクSall1は核内因子であり、ノックアウトマウスの解析から腎臓形成に必須な遺伝子であることが判明している。しかし、Sall1タンパクの機能は依然として不明な点が多い。ショウジョウバエのSall遺伝子(spalt、spalt-related)の発現は様々なシグナル伝達系によって制御されていることから、Sallがそのようなシグナル伝達系のポジティブもしくはネガティブフィードバック因子であると仮定して、TGF-β、BMP、STAT (LIF)、レチノイン酸、Wntシグナル伝達系の各々のレポーターにSall1を一過性に導入し、その影響を調べた。その結果、Sall1の発現によってWntシグナル伝達系が相乗的に活性化されることを見い出した。そのため、Wntシグナル伝達系の核内因子であるβ-cateninとSall1との相互作用を免疫沈降法によって検討した。その結果、両因子の相互作用が確認された。また、Sall1は核内においてペリセントロメリック・ヘテロクロマチンと呼ばれる領域に局在することが報告されている。そのため、Sall1によるWntシグナルの活性化と核内での局在に相関性があるのかどうかをGFP融合Sall1タンパクとその欠失変異体を用いて検討した。その結果、ペリセントロメリック・ヘテロクロマチン領域に局在する場合にのみWntシグナルの活性化が観察され、Sall1遺伝子の機能と核内での局在に相関性を見い出した。 また、ヒト、マウスにおいては現在までにSallファミリー遺伝子は4種類(Sall1,Sall2,Sall3,Sall4)報告されている。そのため、他のSall遺伝子の発生過程における機能を探るために、Sall2遺伝子のノックアウトマウスを作製し解析した。しかし、その表現型は外見的、組織学的にも野生型マウスと変わりは無かった。そのため、さらなる表現型を期待して、掛け合わせによってSall1/Sall2遺伝子のダブルノックアウトマウスを作製した。しかし、このマウスの表現型は組織学的にも生化学的にもSall1ノックアウトマウスと同様であることが判明した。そのため、Sall2遺伝子は少なくともマウスの発生においては必要不可欠な遺伝子ではないことが判明した。
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Research Products
(1 results)