2003 Fiscal Year Annual Research Report
有限体上の付加的構造付アーベル多様体のモジュライ空間について
Project/Area Number |
02J08061
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
原下 秀士 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 代数幾何学 / 整数論 / モジュライ空間 / 超特異アーベル多様体 / Ekedahl-Oort stratification / Newton polygon |
Research Abstract |
論文「Ekedahl-Oort Strata Contained in Supersingular Locus」において,主偏極超特異アーベル多様体のモジュライ空間W_σに入ってしまうEkedahl-Oort Strataの構造の研究を行った. 標数pの体上の主偏極アーベル多様体のモジュライ空間A_<g,1,1>【cross product】F_pにはEkedahl-Oort stratificationと呼ばれる階層構造がはいる.これはNewton Polygonによるよく知られた階層構造とともに最も重要な研究対象である. Ekedahl-Oort stratificationに関しF.Oortは以下のような予想をたてていた. 1.各Ekedahl-Oort stratumはW_σに入ってしまわなければ既約である. 2.W_σに入ってしまうものは十分大きな素数pに対し既約ではない. 上の論文において2.を明示的に解決した.即ち,W_σに入ってしまう各Ekedahl-Oort stratumの既約成分の個数がある四元ユニタリー群の類数に等しいことを示した.この類数はmass formulaで下から評価できるため2.が示される. 一方1.はG.van der GeerとT.Ekedahlが解決したとの報告があるため,上のF.Oortの予想,さらに強く各Ekedahl-Oort stratum既約成分の個数に関する問は完全に解決されたことになった. また,a-数がg-1以上の軌道T_<g-1>に入るNewton Polygonによるstratificationの研究も行った.T_<g-1>の各点のまわりでのCayley-Hamiltonタイプの明示式を得ることによってそのstratificationの既約性が証明できた.これは上の1.の特別な場合の証明にも応用できる.論文「Stratifications in Moduli of Abelian Varieties with a-number g-1」にまとめる予定である.
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