2002 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ視物質発現調節遺伝子の探索による脊椎動物色覚進化の解明
Project/Area Number |
02J08073
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
知念 秋人 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 視物質 / ゼブラフィッシュ / 遺伝子発現制御 / 色覚 / オプシン |
Research Abstract |
1.視物質遺伝子の機能解析 ゼブラフィッシュの9種類の視物質を培養細胞を用いて生合成し吸収光波長を測定した。その結果4種類の緑型及び2種類の赤型視物質の最大吸収波長(λmax)が互いに異なることを見出した(緑型467、476、488、505nm、赤型558、548nm)。また、桿体型、紫外線型、青型視物質のλmaxはそれぞれ501、355、416nmであった。桿体型とλmaxが505nm緑型を除く他の視物質は、他の脊椎動物で報告されている同じ型の標準的な視物質より短波長側にシフトしたλmaxを示していた。次に、各遺伝子の眼球における発現量の相対値をリアルタイムRT-PCRで定量した。各遺伝子間のRT (Reverse Transcription)効率の相違を、濃度既知のRNAから各遺伝子の相対的なRT効率を求めることにより補正した。その結果、青型及び紫外線型とλmaxが476nmの緑型視物質遺伝子が眼球における錐体視物質遺伝子の発現の大部分を占めることが明らかになった。これらの結果はゼブラフィッシュ網膜の光感受性が短波長側にシフトしているという過去の報告と一致しており、河川沼沢の光環境でのコントラスト強化への適応と考えることができる。 2.緑型視物質遺伝子の発現制御解析 緑型視物質遺伝子の領域を含む約100kbのゲノム領域を有するPACクローンを用いた。緑型視物質遺伝子の上流領域をGreen fluorescence protein (GFP)レポーター遺伝子に結合させたクローンを作成し、PACクローンの様々な領域の断片と共にゼブラフィッシュ受精卵に共導入した。GFPの発現を指標に4種類存在する緑型視物質遺伝子の中で少なくも1種類の遺伝子の発現を制御していると思われるエンハンサー領域約500bpを特定した。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Akito Chinen: "Gene Duplication and Spectral Diversification of Cone Visual Pigments of Zebrafish"Genetics. 163. 663-675 (2003)
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[Publications] Takanori Hamaoka: "Visualization of Rod Photoreceptor Development Using GFP-Transgenic Zebrafish"Genesis. 34. 215-220 (2002)