2003 Fiscal Year Annual Research Report
1920、30年代朝鮮における植民地主義の展開とモダニティの形成
Project/Area Number |
02J08149
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
趙 慶喜 東京大学, 社会情報研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 植民地主義 / 動員 / 親日派 / 協力 / 文化政治 / 転向 / 思想統制 / 植民地的近代性 |
Research Abstract |
本研究では、朝鮮「文化政治」期に見られた朝鮮総督府の対日協力政策と朝鮮人知識人側の言説を、植民地社会のモダニティの形成という観点から考察した。特に1920年代以降の帝国の再編過程に着目し、協力者の調達という総督府の戦略に対し、体制内の運動として展開された文化運動や自治運動のもつ可能性と限界を批判的に考察した(その一部については、「帝国の再編と脱植民地化の挫折」としてまとめた)。 また特に権力による思想の統制という問題が持つ戦時下特有の問題についても、問題提起をおこなった。30年代以降、特に日中戦争以降の新たな段階として動員政策、そして「内鮮一体」論の展開といったより広い文脈のなかで、朝鮮人知識人の言説を位置付けなおした(「戦時下朝鮮の思想統制と知識人」)。 またこれまでに得た知見をより豊かにするために、昨年末から3ヶ月間韓国に滞在し、資料の収集をおこなった。特に20年代以降の文化運動や自治運動に内在する論理の解明、また20年代後半から強まる社会主義勢力との影響関係という点から、集中的に資料の読み込みをすすめた。また、これまで韓国内で主流であった民族主義右派・左派という運動論や「親日派」研究などを認識論のレベルで検討する作業も進行中である。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] 趙慶喜: "戦時下朝鮮の思想統制と知識人"季刊 ハヌルハウス. 3号. 45-49 (2003)
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[Publications] 趙慶喜: "帝国の再編と脱植民地化の挫折:朝鮮自治論の検討"歴史文化研究会論文集〔ハングル〕. 印刷中. (2004)
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[Publications] 白永瑞, (趙慶喜訳): "東アジアにおける歴史教科書のつくられ方"アジア新世紀 歴史. (2003)