2003 Fiscal Year Annual Research Report
戦前期からの移動のネットワークと沖縄文化の形成について
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02J08150
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
本山 謙二 東京大学, 人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 島唄 / 1920年代の大阪 / 20世紀の大衆文化 / 複数のディアスポラ / 近代化 / 植民地主義 / 大阪芸能 / 奄美・沖縄出身者 |
Research Abstract |
本研究は、奄美・沖縄から人の移動が加速した1920年代から現代までを研究の時代範囲にし,これまでの先行研究の中でも特に生活・文化史の分野を参照しながら、より批判的かつ歴史的な文脈において、移動先での文化の形成についての考察を深める研究である.そして研究における主要な目的は,人の移動にともなう文化の形成から新たに見えてくる可能性を追求することである.その研究計画のなかにおいて、今年度は、以下の部分についての成果、および研究業績をあげることができた. 1.大阪への移動の経験とそこでの文化の形成について 一般に「伝統的」で「土着的」な文化であると思われている琉球文化のひとつである「島唄」は、むしろ1920年代における大阪への移動の経験により形成されたディアスポラ的(民族離散状態)な過程と側面をもちながら形成され、それは世界史的な文脈で言えば、20世紀に隆盛したポピュラー音楽文化であることについての考察を行った.そこでは、1920年代に沖縄から大阪へ移住し、レコード会社を設立した普久原朝喜という音楽家の活動と実践を追うことを通じて考察を行った。 なおこの研究は、「移動の経験に裏打ちされた音と"うた"」-1920-30年代の普久原朝喜の活動を中心に-『グローバリゼーションの文化とポリティクス』、平凡社(脱稿、近刊)にまとめた. 2.「奄美復帰50年」関連 今年度は、上記のような1920年代の大阪における音楽文化の業績の他に、『奄美50年復帰企画 島唄の風景』(南日本新聞社)の業績に代表されるように「奄美復帰50年」関連の取材を受けたり、それについての論考を書いたりもした. 以上、2項目が今年度の成果および業績である.
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Research Products
(5 results)
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[Publications] 本山 謙二: "機織り工場の風景"けーし風. 41. 26-27 (2003)
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[Publications] 本山 謙二: "聴き続けた奄美・沖縄の唄(上)(下)"沖縄タイムス(新聞連載). 1月27、28日(文化7面). (2003)
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[Publications] 南日本新聞社(取材&協力): "文学への結実"奄美50年復帰企画 島唄の風景. 111-112 (2003)
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[Publications] 本山 謙二: "「諍いの風景」インナーシティで生まれた文学群から"シンコペーション ラティーノ/カリビアンの文化実践. 180-185 (2003)
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[Publications] 本山 謙二: "「移動の経験に裏打ちされた音と"うた"」1920-30年代の普久原朝喜の活動を中心に"グローバリゼーションの文化とポリティクス. 3(仮)(近日発刊). 272-302