2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08214
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
桑原 彰秀 京都大学, 工学研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | ジルコニアセラミックス / イオン伝導性 / 電子構造 / 第一原理バンド計算 / 第一原理分子軌道計算 / 酸素空孔 / 転位 / 拡散 |
Research Abstract |
ジルコニアセラミックスは酸素イオン伝導特性という優れた機能特性を有している。しかし、その特性の発現機構には依然として未解明の部分が多い。本研究ではジルコニアセラミックスの持つ機能特性の支配要因を電子論的観点から解明し、その局在量子構造の制御による新たな材料設計を行うことを目的として研究を行ってきた。 イットリア安定化ジルコニア(YSZ)単結晶に対して高温圧縮試験を行い、線欠陥である転位の導入がイオン伝導特性に与える影響を解析した。その結果、転位の導入によりYSZの酸素イオン伝導率が向上することが確認された。これは、転位芯が酸素空孔の高速拡散経路として働き、酸素イオン拡散の促進に寄与したためであると考えられる。 種々の希土類添加安定化ジルコニア(FSZ)の酸素イオン拡散の素課程における化学結合状態の変化を格子静力学計算及び第一原理分子軌道計算を用いて解析した。移動する酸素イオン周囲の化学結合状態は大きく変化し、saddle pointでは強い反結合状態にある。基底状態と遷移状態での有効共有電子密度の変化が酸素拡散における移動エンタルピーの主要因になっていると考えられる。 また、ジルコニアよりも高いイオン伝導性を有することで近年注目されているランタンガレートに対する解析も行った。第一原理バンド計算法の一つである平面波基底PAW法を用いて、温度及び酸素分圧の影響を考慮した欠陥形成エネルギーの評価を行った。計算結果は、ランタンガレート中では1300K、10^<-21>〜1atmという広い酸素分圧域において酸素空孔が安定に存在することを示していた。これは、既報の実験結果と良い一致を示しており、第一原理計算によるイオニクス材料設計が可能であることが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)