2002 Fiscal Year Annual Research Report
EB-PVDによる耐剥離界面を持つ耐熱コーティングの研究
Project/Area Number |
02J08215
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川添 敏 東京大学, 生産技術研究所・日本学術振興会特別研究員(DC2)
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Keywords | 熱暴露 / TGO層厚さ / 蛍光分光法 / 微視破壊 |
Research Abstract |
EB-PVD法により作製した遮熱コーティング(TBC)の高温・大気中熱暴露に伴う組織変化を観察するとともに、熱成長層(TGO)層中の応力と微細組織の変化との相関性を明らかにした。まず、TBCを大気中で1100℃、0〜100hの範囲で熱暴露試験を行なった。トップコート(TC)層にはTCとボンドコート(BC)界面に対し、垂直な方向に成長した柱状ZrO_2層が形成され、熱暴露時間の増加に伴いTC層中の空隙が少なくなっていた。また、100hの試料ではTC/TGO界面近傍にTC層中での微視クラックの発生が観察された。一方、BC層中には、Ni_3Al相が均一に分布しており、熱暴露時間の増加に伴いNi_3Al相の存在比は減少し、Ni_3Al相欠乏層の厚さが増加していた。また、50h以上の熱暴露では基材側の欠乏層にカーケンドール効果の影響と見られるボイドが多数生成されていることが確認された。熱暴露時間の増加に伴うTGO層の厚さの変化については、その厚さをh_<TGO>とすると、h_<TGO>【approximately equal】h^0_<TGO>+k・t_h^<0.4>に従っていた。ここで、h^0_<TGO>、kはそれぞれ熱暴露前のTGO層の厚さ、速度定数である。TGO層の応力は顕微蛍光分光法により測定した。TGO層中には〜3GPaの平均圧縮応力が働いていた。また、TGO中に凹凸が生じた部分では、応力がTC側、BC側で異なることが明らかになった。TC層中に生じた微視破壊とTGO層中の応力分布を考えると、TC層中ではTGO層が下に凸の場所の上部でTC層中で割れた面に垂直方向に引張応力成分が働き、これが微視破壊を引き起こす要因であると考えられた。
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