2002 Fiscal Year Annual Research Report
超弦理論の非摂動的定式化、特にDブレーン・Mブレーンの力学
Project/Area Number |
02J08238
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上杉 忠興 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 超弦理論 / Dブレーン / タキオン凝縮 / 弦の場の理論 |
Research Abstract |
今年度は超弦理論のダイナミカルな側面、とくにタキオン凝縮に関する研究を行った。このような研究は超弦理論の異なる二つの真空をつなぐという点で非摂動的側面を調べることと密接に関係している。特に開弦のタキオン凝縮は非摂動的物体といわれるDブレーンの崩壊現象そのものを表している。今回は特に閉弦がこのようなタキオン凝縮に及ぼす影響に注目し研究を行った。 昨年度の研究内容の続きとしてはDブレーンが崩壊する際に閉弦がどのように現われるかについて、開弦の場の理論の立場から考察した。特にDブレーンが崩壊した後の真空のまわりで弦の場の理論がどのように表されるかを知ることが重要であり("vacuum string field theory")、今回はbosonic stringではなくsuperstringの方で弦の場の理論がどのように表されるかということを仮定し、その古典解の性質をしらべた。 上の研究とは別に閉弦そのものから来るタキオン凝縮の研究も行った。特に私はシグマモデルの方法と繰り込み群の関係に着目し、実際に繰り込み群が流れたときタキオン凝縮を記述するのに適当な「エネルギー」的な量を定義するというのが目標とした。今回は良く知られたオービフォールドやそれを一般化したfluxbraneとよばれる「背景」に限って議論をすすめた。それによりある種特殊な「エネルギー」的な量を定義することができ、タキオン凝縮がどのように起こるかということを記述することができた。このような議論は部分的に開弦のタキオン凝縮と似た性質を持つことがわかった。
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