2003 Fiscal Year Annual Research Report
北太平洋亜熱帯-亜寒帯循環系における中層水の形成と循環に関する研究
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02J08240
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上野 洋路 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 北太平洋 / 中層水 / 中暖水 / 水温極大 / 亜寒帯域 / 亜熱帯域 / インバース法 / 水塊 |
Research Abstract |
本研究ではまず、昨年度に引き続きインバース法を用いて亜熱帯-亜寒帯海水交換と等密度面を横切る流れの亜寒帯域水温極大水(中暖水)への影響の定量的評価を行った。本年度は特に、誤差の評価に重点を置いた解析を行ない、亜寒帯域中暖水の熱の維持には南からの中層熱輸送が本質的な役割を果たしていることを、より定量的に示すことができた。この成果に関しては、2003年4月にフランス・ニースで開催された国際学会「欧州地球物理学会-米国地球物理学連合学会-欧州地球科学会・合同大会」および2003年7月に札幌で開催された国際学会「第23回国際測地学・地球物理学連合総会」にてポスター発表を行い、2003年11月に国際学術誌「Journal of Geophysical Research」に掲載された。 本研究では更に、北太平洋中高緯度域の亜表層・中層の水温・塩分構造の更なる理解を目指し、過去に観測された海洋データ(北太平洋中高緯度域で約80万点)の直接解析を行なった。具体的には、北太平洋亜寒帯域に特徴的な構造である水温逆転構造の存在確率分布を推定、どの海域でどの程度の水温逆転が起こっているかを定量的に議論した。その結果、例えばアリューシャン列島、千島列島沿いでは、冬季に水温逆転が形成され、季節の進行と共に極小、極大水が共に昇温するが、極小水の昇温の方が大きい為、逆転水温及び水温逆転存在確率は秋にかけて減少することが分かった。また、上記水温上昇は、海面加熱と中層における暖水供給、及び強い潮汐混合によると推察される。この結果は、国際学術誌「Journal of Geophysical Research」に投稿中であり、2004年3月27日に筑波大学で開催される2004年度日本海洋学会春季大会にて口頭発表する予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Hiromichi Ueno, Ichiro Yasuda: "Intermediate water circulation in the North Pacific subarctic and northern subtropical regions"Journal of Geophysical Research. Vol.108 No.C11. Doi:10.1029/2002J C001372 (2003)
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[Publications] Hiromichi Ueno, Ichiro Yasuda: "Correction to Intermediate water circulation in the North Pacific subarctic and northern subtropical regions by H.Ueno and I.Yasuda"Journal of Geophysical Research. Vol.109 No.C2. Doi:10.1029/2003J C002222 (2004)