2002 Fiscal Year Annual Research Report
X線によるmissing baryon(銀河間高温物質)探査
Project/Area Number |
02J08243
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大島 泰 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | X線 / 銀河 / 銀河間物質 / 銀河団間物質 / 高温ガス / 化学進化 / 銀河風 / マイクロカロリメータ |
Research Abstract |
本年度は、近傍銀河の進化及び銀河が銀河間・銀河団間物質へ与える影響について研究した。米国のX線天文衛星チャンドラにより近傍銀河を観測し、銀河面内の星形成領域における高温ガスからの放射および銀河面からふきだしたハローガスからの淡い放射を発見した。詳細なバックグラウンドの評価方法を確立することによってこれら高温ガスの温度及び重元素組成を精度良く決定することに初めて成功した。さらに、チャンドラ衛星の公開データから近傍銀河を選び出し同様の手法によって解析した。その結果、全ての銀河面の星形成領域における重元素組成が低いこと及び銀河面からふきだした高温ガスが銀河風として銀河の外へ飛び出し得ることを明らかにした。これらのことから、銀河面内で生成した重元素が銀河風によって銀河・銀河団間空間に放出され、銀河及び、銀河・銀河団間物質の化学進化に影響を与えていることを観測的に明らかにした。 このような銀河面から高温ガスがふきだす機構を明らかにするためには多波長による観測が必要であり、私は、SESTの電波派望遠鏡に観測提案を提出し採択された。観測及びその解析結果の報告は来年度に行なう予定である。 これらの結果は、国際学会(The IAU 8th ASIAN-PACIFIC REGIONAL MEETING)と研究会(Japan-Germany Workshop on Galaxies and Clusters of Galaxies)において発表し、論文にまとめた。 上記と並行して、将来の銀河・銀河団間物質探査に必須の検出器であるTES型X線マイクロカロリメータの改良を進めた。単素子としては十分な性能を達成しただけではなく、二素子をエネルギー分解能の劣化なしに同時に読み出すことに成功した。来年度はより多くの画素数の同時読み出しを達成したい。
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