2003 Fiscal Year Annual Research Report
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02J08289
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
豊田 太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 両親媒性分子 / ベシクル / 人工複製系 |
Research Abstract |
両親媒性分子が水中で自発的に形成する袋状の二分子膜をベシクルと呼ぶ。本研究では、「構成分子の前駆体をベシクルに供与すると、前駆体がベシクル膜内で反応し、新たにベシクル構成分子が生成する結果、ベシクルが増殖する」という反応システムの構築とそのダイナミクスの解析を目指している。このような反応系は、ベシクル型人工複製系と位置づけることができる。今年度は、,以下の研究成果を得た。 (1)可逆的なベシクル形成反応系の構築 シッフ塩基は水中で加水分解されるが、水中に形成される脂質二分子膜のような疎水的な環境では逆反応である脱水縮合が起こりシッフ塩基を与える。この性質を利用し、両親媒性をもつシッフ塩基で、加水分解により疎水基の脂溶性分子と極性基の電解質とに可逆的に変換される分子を設計した。この両親媒性分子が水中で形成する会合体は、加水分解反応に伴い、生成物と取り込むことで形態変化する(小ベシクル→巨大ベシクル→エマルジョン)ことが、光学顕微鏡、電子顕微鏡、動的光散乱型粒度分布計、紫外可視吸収スペクトル計を用いることで明らかになった。 (2)人工脂質型ベシクルのフローサイトメトリーによる粒径・内部構造評価 従来血球計算に用いられるフローサイトメトリーを用い、粒径1μm以上のベシクル水溶液を計測するプロトコルを確立した。従来の動的光散乱型粒度分布計では観測不可能であった、粒径1μm以上のベシクルや油滴といった分子集合体のヒストグラムが、粒径に対し正規分布していることが明らかになった。これを利用して、ベシクルの形態変化を10^4〜10^5個の集団で統計的に追跡しうる基盤が整った。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] T.Takakura: "A Novel System of Self Reproducing Giant Vesicles"J.Am.Chem.Soc.. 125. 8134-8140 (2003)
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[Publications] K.Shohda: "Direct Visualization of DNA Duplex Formation on the Surface of Giant Liposome"ChemBioChem. 4. 778-781 (2003)
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[Publications] 菅原 正: "自己複製するリポソーム型人工細胞を目指して-膜ダイナミクスの解明とその制御-"Bio Medical Quick Review Net. 印刷中.