2004 Fiscal Year Annual Research Report
アラビア語写本校訂を通じた中世イスラームにおける天文観測器具にまつわる歴史研究
Project/Area Number |
02J08323
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
三村 太郎 東京大学, 大学院・総合文化研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イスラーム科学史 / 精密科学史 / アストロラーブ |
Research Abstract |
本年度も,天文観測器具にまつわるアラビア語写本の収集と整理を中心に,研究を遂行した。特に,本年度は,インドへと赴き,インドのいくつかの文書館を訪問し,そこに収蔵されていたアラビア語写本の閲覧と撮影(デジタルカメラ)を行った。その結果,今まで見ることのできなかったアラビア語写本の追跡調査とデジタル化に成功した. また,整理した写本を調査することで,幾つかの研究成果を得た.その一つは,テオドシオス『球について』のギリシャ語原典とアラビア語訳を比較することで,ギリシャ数学における円の定義が,コンパスの使用と密接に結びついていることを示した.その結果,精密科学における精密器具の役割の重要性を明らかにすることができた.その成果は,日本科学史学会の年会で発表した. そして,数学や天文学といった,数学的諸学の基礎を担う「論証」の存在についても,考察を深めた.すなわち論証がどういった場で披露されたのかといった,論証の登場する場について,特に,イブン・ムナッジム,クスター・イブル・ルーカー,フナイン・イブン・イスハークの間で交わされた往復書簡を精査することで,明らかにした.その成果は,中世哲学会で発表した.
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Research Products
(1 results)