2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08327
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤幸 知子 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ミツバチ / 攻撃行動 / 遺伝子 / ウイルス / DNAマイクロアレイ / 感染 |
Research Abstract |
1)新規昆虫ピコルナ様ウイルスゲノム様遺伝子、Agg-2の解析 1-1)Agg-2のcDNAクローニング 攻撃性の高いミツバチの脳に特異的に検出される新規遺伝子、Agg-2のcDNAクローニングが完了し、約10kbpについて塩基配列が決定された。その結果、全長にわたってピコルナ(様)ウイルスゲノムとの相同性が見られた。また、様々なピコルナ(様)ウイルスとの系統解析の結果、Agg-2は昆虫ピコルナ様ウイルスグループのゲノムRNAと最も近得であることが示された。さらに、Agg-2がミツバチのゲノム由来のものか否かを検討するために、ミツバチゲノムDNAを用いてサザンブロット解析を行った結果、Agg-2はミツバチゲノム中にはコードされないことが強く示唆された。したがって、Agg-2はミツバチに感染する、新規な昆虫ピコルナ様ウイルスのゲノムであると示唆された。そこで私はこのウイルスをKakugoウイルスと命名した。 1-2)ウイルス感染実験 Kakugoウイルスが感染性を持つか否かを検討するために感染実験を行った。Kakugoウイルスに感染している攻撃峰と感染していない採餌蜂の頭部からそれぞれライセート上清を調整し、採餌蜂の頭部にそれぞれ注射した。頭部におけるKakugoウイルス量を定量的RT-PCRを用いて経時的に定量した。その結果、攻撃峰ライセート上清を注射した場合には注射3日後にウイルスの増殖が見られた。採餌蜂ライセート上清を注射した場合には注射3日後ではウイルスは検出されなかった。このことから、Kakugoウイルスの感染性が示された。 2)攻撃行動の制御に関わる遺伝子群の網羅的同定 攻撃蜂と逃避蜂の脳由来cDNAと当研究室で作成したミツバチのDNAマイクロアレイを用いて攻撃峰の脳に選択的に発現する遺伝子群を検索した結果、攻撃峰に2倍程度強く発現する新規な遺伝子、Agg-3を同定した。定量的RT-PCRの結果、攻撃峰選択的な発現が確認された。
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