2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08350
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 耕治 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 硼化物 / 少数キャリア / 強磁性 / 表面 |
Research Abstract |
Al flux法によりA_<1-x>La_xB_6 (A=Ca, Sr)の各Laドープ量(x=0〜0.02)の単結晶試料を合成した。合成された試料はいずれも磁化測定において強磁性を示した。as-grownの単結晶試料の飽和磁化の大きさは0.1〜4 (emu/mol)程度であり、ばらつきは大きいものの、全体的な傾向としてLa置換量が多いほど飽和磁化が大きくなっていく傾向が見られた。すなわちこれはYoung et al. (Nature 397,412(1999))の報告とは異なり、強磁性飽和磁化がキャリア量に依存しているというよりは、La置換により導入された格子歪み、偶発的に混入した磁性不純物にこの物質の強磁性は依存していることを示唆している。この物質の強磁性モーメントは上記のようにサンプル依存性が大きくばらついているが、このことに関しては、モーメントが表面数μmの領域に局在しているというESR測定の報告と併せて考えると試料表面の影響が原因として考えられる。そこで、磁化と試料表面の相関関係を調べる為に、試料表面を機械的に研磨除去し、その前後における飽和磁化の値の比較を行った。その結果、CaB_6の場合を例として挙げると、研磨前の飽和磁化の値が3(emu/mol)であったのに対し、研磨後の飽和磁化は1(emu/mol)となり磁化が減少をすることが確認された。この際、研磨除去した試料表面層の厚さは10〜20μm程度である。このことから試料表面10〜20μm程度に磁気モーメントが局在しているということが示唆される。この結果は以前に行った光学反射率測定がas-grown表面に対して行った場合にはプラズマ周波数が大きなばらつきを示し、La置換量との間に相関を示さなかったのが、表面研磨により系統的な変化を示すようになったこととconsistentな結果になっている。また、ローレンツ顕微鏡により単結晶試料の観察も行ったが、この場合にも試料表面にモーメントが局在しているという上述の示唆を支持する結果が得られている。
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