2003 Fiscal Year Annual Research Report
タウオパチー患者脳におけるタウの生化学的解析と神経変性機構に関する研究
Project/Area Number |
02J08351
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
谷口 小百合 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | タウ / タウオパチー / 神経原線維変化 / 線維形成 / リン酸化 / 前頭側頭型痴呆 |
Research Abstract |
神経原線維変化の構成成分であるタウは、過剰にリン酸化されてPHF、SFといった線維構造をとり脳内に蓄積している。タウの蓄積を伴う疾患はタウオパチーと総称され、ADを始めとしてPick病、PSP、CBDなど数多くの疾患が存在する。また、FTDP-17におけるタウ遺伝子の変異が発見されたことによりタウの異常によって神経細胞死が引き起こされることが明らかとなった。いずれのタウオパチー患者脳にもリン酸化され線維構造をとったタウが蓄積しているため、筆者はタウの線維形成機構に着目して研究を進めている。現在までにin vitroにおけるタウの線維化実験で、タウの線維形成には高濃度のタウ、ポリアニオンの存在(ヘパリン、硫酸グリコサミノグリカンなど)、線維の核となるseedが必要であることがわかっている。我々は作製した線維の生化学的性質を調べることで、seedを添加し作製した線維がヘパリンを添加して作製した線維よりも、in vivoの線維に近い性質を有していることを明らかにした。また、変異タウ、リン酸化タウを線維化し、定量を行うことでその線維形成機構を解析した。その結果、タウの変異は線維形成を促進することを明らかにした。そしてタウはリン酸化される程度と部位によって、線維形成が促進あるいは抑制されることを明らかにした。 近年、タウ蓄積の伴わない前頭側頭型痴呆患者において、可溶性のタウがADなどの他の神経変性疾患と比べて特異的に減少しており、新たなタウオパチーとして報告された。そこでこの疾患を含め、数多くの神経変性疾患患者の剖検脳を解析した。その結果、可溶性タウの減少はこの疾患に特異的な現象ではなく、神経変性の激しい症例で認められ、可溶性タウだけではなく微小管系タンパク(チューブリン、MAP5など)も減少していることを明らかにした。また神経変性が軽い症例については可溶性タウは比較的保存されていた。
|
Research Products
(2 results)
-
[Publications] Sayuri Taniguchi et al.: "THE NEUROPATHOLOGY OF FRONTOTEMPORAL LOBAR DEGENERATION WITH RESPECT TO THE CYTOLOGYCAL AND BIOCHEMICAL CHARACTERISTICS OF TAU PROTEIN"Neuropatho.Appl.Neurobiol.. 30. 1-18 (2004)
-
[Publications] 谷口 小百合ら: "タウオパチー"内科. 91. 1312-1313 (2003)