2002 Fiscal Year Annual Research Report
motivic integrationの研究とその高次元代数幾何や弦理論への応用
Project/Area Number |
02J08364
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
安田 健彦 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | モティヴィック積分 / ジェットスキーム / 代数的スタック |
Research Abstract |
高次元代数幾何の研究では、まず特異点を研究することが大事である。私はモティヴィック積分の理論を応用して、対の特異点が川又ログ端末特異点、またはログ標準特異点になるための必要十分条件を与えるという研究を昨年度行ったが、今年度はその結果を食い違い係数に関する逆同伴定理を証明するために応用した。逆同伴定理とは、次元の高い代数多様体の対の特異点の悪さの度合いを、より低い次元の代数多様体の特異点から判定するというものである。高次元代数多様体の研究を低い次元に帰着させることができるようになり、非常に重要な定理といえる。 またジェットの空間から特異点解消を構成するという研究も行った。一般的に、特異点を持つ代数多様体は調べることが難しく、そうでない滑らかな代数多様体は簡単である。代数幾何の研究ではしばしば特異点を持つ代数多様体を扱う必要が生じる。それを双有理同値な非特異代数多様体に変換する事を特異点解消という。広中は標数零の体の上では、いつでも特異点解消が可能であることを証明した。しかし、それはきわめて複雑で、なにが起こっているかを把握することは難しい。また、標数が正の時は特異点解消問題は未解決である。よって、特異点解消への新しいアプローチが必要である。私は、特異点解消をジェット空間を使って構成するという新しいアイデアを提案した。 またK同値をアーク測度空間の観点から特徴付けを行った。標準因子のレベルの等しい二つの代数多様体をK同値というが、この概念は極小モデル理論でよく現れる。例えば、クレパント特異点解消、フロップ、双有理同値な極小モデルやカラビヤウ多様対等がそうである。したがって、この研究は代数多様体の分類問題などへ有効に応用されると予想される。
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