2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08398
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鍵和田 聡 東京大学, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ジャガイモXウイルス / 塩基配列 / 系統解析 / ポテックスウイルス |
Research Abstract |
我が国で発生しているポテックスウイルス属のジャガイモXウイルス(Potato virus X ; PVX)は大きくo系統(普通系統)とb系統(えそ系統)に分類されるが、b系統と異なりo系統はメイクイーンやホッカイアカなどのジャガイモの品種に全身感染する。このうちのo系統の分離株であるOSについて、ウイルス粒子精製、RNA抽出、cDNAクローニングを行い、その全塩基配列を決定した。日本に発生するPVXの全塩基配列の報告はこれが初めてとなる。その結果、PVX-OSは全長が6435塩基からなり、他の海外に発生するPVX系統と同様に5つのORFを持つことが明らかとなった。既報のPVX系統とその全長の塩基配列を比較したところ、欧州系統とは95-96%もの高い相同性を示したのに対し、南米系統とは77-78%の比較的低い相同性を示した。さらに日本における本ウイルスの位置づけを検討する目的で系統解析を行ったところ、各ORFの塩基配列レベルでの系統解析でPVX-OSは欧州系統とクラスターを組むとともに、外被タンパク質をコードするORF5の塩基配列を用いた系統解析において中国や韓国、台湾に発生するPVXと同じクラスターを組み、世界に分布するタイプの系統であることが明らかとなった。同時に、このクラスターはSanta Cruzら(1995)の分類による外被タンパク質Xタイプ、Malcuitら(2000)の分類によるNx非病原性グループに一致すると考えられた。そのため、本邦産のPVX-OSはアンデス由来の系統ではなく、またジャガイモの抵抗性遺伝子Nxに対して非病原性であることが示唆された。今後は、もう一方の病原性を持つ本邦産PVXのb系統の病原性の解析とともにその塩基配列の比較解析を行う必要があると考えられる。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Kagiwada, S., et al.: "The complete nucleotide sequence of Potato virus X strain OS : the first complete sequence of a Japanese isolate"Journal of General Plant Pathology. 68,1. 94-98 (2002)