2004 Fiscal Year Annual Research Report
水溶液中での触媒的不斉炭素‐炭素結合生成反応の開発
Project/Area Number |
02J08403
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
濱田 知明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | フッ化亜鉛 / キラルジアミン / マンニッヒ反応 |
Research Abstract |
これまでに、フッ化亜鉛(ZnF_2)と1,2-ジフェニルエタンジアミン由来のキラルジアミンを用いることで、ヒドラゾノエステルとケイ素エノラートの触媒的不斉Mannich型反応が水/THF混合溶媒あるいは水中で高い選択性をもって円滑に進行することを報告している。本反応では、50mol%以上のZnF_2が高収率を得るために必須であった。今回、水/THF混合溶媒および水中での不斉Mannich型反応において、芳香環上のo-位にMeO基を有するキラルジアミンを用いることで、ZnF_2を10-20mol%まで低減化しても、良好な収率をもって生成物が得られることがわかった。 本反応において用いるZnF_2は触媒量で十分であったことから、反応機構を以下のように想定した。すなわち、ZnF_2-キラルジアミン錯体(a)のZn(II)がLewis酸としてヒドラゾンを活性化し、F^-がLewis塩基としてケイ素エノラートを活性化するという二重活性化機構で反応が進行し、対応するZnアミドとMe_3SiFを与える。前者は溶媒の水により分解されてMannich付加体とZnF(OH)-キラルジアミン錯体(b)を与える。次いで、bがMe_3SiFと反応してaを再生することにより、触媒サイクルが完成する(Fluoride-catalyzed Mechanism)。この反応機構に関して、別途調製したZnF(OH)を用いて実験を行った。まず、ZnF(OH)-キラルジアミンを用いたとき、ヒドラゾノエステルとアセトフェノン由来のケイ素エノラートの反応はほとんど進行しなかった。しかしながら、この系にMe_3SiFを添加すると反応は円滑に進行し、ZnF_2を用いたときと同等の結果を得ることができた。このことは上述の反応機構において、Me_3SiFとbからaが再生することを示唆すると考えられる。また一方、別実験より、b-a間は可逆過程であることがわかっている。 本触媒系は水存在下でのみ有効に機能するものであり、反応機構的にも興味深いため、本研究は水を溶媒として用いる不斉反応の開発研究に有用な指針を与えるものである。
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Research Products
(2 results)