2002 Fiscal Year Annual Research Report
環境調和型触媒的不斉炭素-炭素結合形成反応の開発と実践的合成への展開
Project/Area Number |
02J08406
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
熊谷 直哉 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 直接的触媒的不斉アルドール反応 / 直接的触媒的不斉アルドール反応 / 亜鉛-連結BINOL錯体 / X線結晶構造解析 / CSI-MS |
Research Abstract |
既に開発に成功している亜鉛-連結BINOL錯体を用いる直接的触媒的不斉アルドール反応、マイケル反応を実践的に有用なレベルにまで効率化させるため、本反応の詳細な反応機構解析を行った。亜鉛と連結BINOL配位子からなる錯体のX線結晶構造解析、コールドスプレーイオン化マススペクトロメトリー(CSI-MS)により、本錯体が亜鉛3つと連結BINOL配位子2つからなる亜鉛3核錯体であることが判明したが、興味深いことに、触媒量の検討実験の結果、本錯体は反応の真の活性種ではないことが明らかになった。詳細な反応の速度論解析の結果、本錯体に反応基質であるケトンを加えた時に生じるより亜鉛リッチな錯体が反応活性種であることを突き止めた。反応活性種の亜鉛含量を考慮し、反応の触媒調製法を従来のジエチル亜鉛/連結BINOL配位子=1/2の比から1/4の比へと変えたところ、反応の立体選択性は保持したまま大幅に反応速度を向上させることを見い出した。さらに、MS3A存在下においてさらなる反応生の向上と触媒量の低減が可能となり、従来の触媒に比べより実用的な触媒系の確立ができた。本最適化反応条件により、従来は反応が進行しなかったヒドロキシプロピオフェンノンの直接的触媒的不斉アルドール、マイケル反応を効果的に促進することが可能となり、非常に価値の高い触媒的な4級不斉中心の構築が可能となった。さらに本触媒系は、メチルビニルケトンに対する直接的触媒的不斉マイケル反応をわずか0.01mol%の触媒量で高立体選択的に進行させ、実践性を兼ね備えた不斉触媒を開発することができたと言える。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] 熊谷 直哉: "Direct Catalytic Asymmetric Aldol Reaction of Hydroxyketones : Asymmetric Zn Catalysis with a Et_2Zn/linked-BINOL Complex"Journal of the American Chemical Society. 125. 2169 (2003)
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[Publications] 原田 真至: "Direct Catalytic Asymmetric Michael Reaction of Hydroxyketones : Asymmetric Zn Catalysis with a Et_2Zn/linked-BINOL Complex"Journal of the American Chemical Society. 125. 2582 (2003)