2004 Fiscal Year Annual Research Report
複合現実感による実在空間の電子的拡張とそのユーザーインターフェースへの応用
Project/Area Number |
02J08417
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 いまり 東京大学, 大学院・情報学環, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 複合現実感 / 物体の反射特性のモデル化 / 空間モデル獲得 / 実光源環境の推定 |
Research Abstract |
複合現実感において,現実・仮想の両空間の光源環境を一致させて違和感のない陰影を実現するための光学的整合性の実現に関する研究を更に進め,平成15年度までに開発してきた(1)複雑光源下での物体の見えを高速に生成し光学的整合性を実時間で実現するための技術,(2)複合現実世界の提示手段として,従来のディスプレイを利用する枠組みを越えて現実空間をLCDプロジェクタを用いて電子的に修飾するための技術の改善を行った. (1)複雑光源下における高速な画像生成技術の開発 平成15年度は光源環境の変化に伴う物体の見えの変化を表現する低次元の線形部分空間を張る基底を獲得する手段として,点光源下で観察された対象物体の見えから球面調和関数の標本化定理に基づき,基底画像を効率良く解析的に獲得する手法を提案した.しかしながら,この手法は,鏡などの表面に強い艶が観察されるような物体の基底画像を正しく求めるためには膨大な数の入力画像が必要となり,その実装が難しいという問題を抱えていた.本年度は,この問題の改善に取り組み,入力画像撮影に用いる光源を単純な点光源から理想的な光源に変更することにより,物体表面の反射特性の周波数特性に左右されることなく,比較的少数枚の入力画像を用いて基底画像を正しく求めるための技術を開発した (2)LCDディスプレイによる現実空間の修飾: 従来のディスプレイの枠組みを越えて,複合現実の世界を実空間内に構築するために,LCDプロジェクタによる投影を用いて現実空間そのものを電子的に修飾・拡張する技術の開発に取り組んだ.昨年度は,複雑な形状を持つ現実空間を投影面として利用する際に問題となる幾何的な歪をどのようにして補正するかという問題に取り組み,現実空間の持つ複雑な形状を計測し歪補正を行う技術の開発を進めた.この成果に基づき,16年度は不均一な反射特性を持つ実物体表面に合成画像を正しく投影するための光学的な補正を行う技術の開発に取り組んだ.本研究で開発された光学補正技術を利用することにより,テクスチャーなどが観察され投影には必ずしも適さないような実空間の投影面に関しても,光学的補正を行うことが可能となり,ユーザにとって最も見やすい形で仮想空間からの情報を提示することが可能となった.
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Research Products
(3 results)