2003 Fiscal Year Annual Research Report
宇宙風化作用シミュレーション実験による天体表面の光学的および物質的変化の解明
Project/Area Number |
02J08439
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
倉橋 映里香 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙風化作用 / 電子スピン共鳴 / ナノメートルサイズ微小金属鉄 / レーザー照射 / 反射スペクトル / 普通コンドライト / 炭素質コンドライト |
Research Abstract |
小惑星は太陽系初期の環境に関する情報を保持しており、太陽系の起源と進化を解明する上で大変重要な存在である.一般に、隕石の母天体は小惑星であると考えられている.なかでもS型小惑星は普通コンドライトの母天体であると考えられている.しかし、両者の反射スペクトルを比較すると、S型小惑星のスペクトルは反射率低下・吸収帯浅化・スペクトルの赤化を示す.この原因として、星間塵や微小隕石等が衝突することにより、天体表面が光学的に変化する宇宙風化作用が挙げられる. 宇宙風化作用のメカニズムを解明するために、微小隕石等の衝突をナノ秒パルスレーザー照射で再現したシミュレーション実験を行った.レーザー照射後のかんらん石試料は宇宙風化作用に似たスペクトル変化を示し、さらにスペクトル変化の根本的な原因として理論的に考えられているナノメートルサイズの微小金属鉄が実際に生成していることが透過型電子顕微鏡観察から明らかになった.さらに、宇宙風化作用による微小金属鉄生成量の変化を調べるために、レーザー照射後の試料について電子スピン共鳴(ESR)測定を行った結果、かんらん石および輝石試料について宇宙風化作用の程度が大きくなるにつれて微小金属鉄の生成量が増加していることが明らかになった. さらに普通コンドライトおよび炭素質コンドライトを用いたシミュレーション実験も行った.普通コンドライト(Moorabie(L3)、Allegan(H5))において実際にスペクトルの反射率低下・吸収帯浅化・スペクトルの赤化が生じることが確認された.炭素質コンドライト(Allende CV3)においても反射スペクトルが変化することが明らかになった.これらの研究成果は、2003年月惑星シンポジウムにおいて発表した.
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[Publications] Kurahashi, E., Yamanaka, C., Nakamura, K., Sasaki, S.: "Laboratory Simulation of Space Weathering : ESR Measurements of Nanophase Metallic Iron in Laser-irradiated Olivine and Pyroxene Samples"34th Annual Lunar and Planetary Science Conference. 1499 (2003)
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[Publications] S.Sasaki, E.Kurahashi, C.Yamanaka, K.Nakamura: "Laboratory simulation of space weathering : Changes of optical properties and TEM/ESR confirmation of nanophase metallic iron"Advances in Space Research. 31. 2537-2542 (2003)
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[Publications] Sho Sasaki, Yuji Ueda, Erika Kurahashi, Mark Loeffler, Takahiro Hiroi: "Space weathering simulation of surface alteration of asteroids : Pulse-laser irradiation on meteorite samples"36^<th> ISAS Lunar and Planetary Symposium. 125-128 (2003)
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[Publications] S.Sasaki, E.Kurahashi: "Space weathering on Mercury"Advances in Space Research. 印刷中. (2004)