2002 Fiscal Year Annual Research Report
イネ科植物における冠水応答メカニズムの究明とその分子育種への応用
Project/Area Number |
02J08444
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
目黒 直樹 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | イネ / 冠水 / 子葉鞘 / アルデヒド脱水素酵素 |
Research Abstract |
主要作物の多くは、耐湿性、冠水抵抗性が低く、異常気象による洪水時には、甚大な被害が出てしまうため、耐湿性の低い作物に耐性を付与することは農業上、非常に重要である。イネは、主要作物としては珍く、耐湿性、冠水抵抗性の高い作物であるため、イネの持つこの耐性のメカニズムを明らかにし、耐性の低い作物への応用に供するため、イネの冠水時の発芽において特徴的である、子葉鞘の伸長に着目し解析を行っている。 イネの種子が冠水状態に置かれると、発芽に適した温度であれば子葉鞘が伸長する。この子葉鞘から全mRNAを抽出し、ミトコンドリア型のアルデヒド脱水素酵素(ALDH2)をコードする2コピーの遺伝子、ALDH2a、ALDH2bについてノーザン解析を行ったところ、冠水状態の子葉鞘においてはALDH2aのmRNAの蓄積のみが見られた。ALDHの阻害剤であるジスルフィラム、シアナマイド、クロラルハイドレートのそれぞれの水溶液にてイネの種子を冠水し発芽させたところ、三種類の物質の間で影響を及ぼす濃度に違いがあったものの、いずれにおいても水中での子葉鞘の伸長が抑制された。 現在、更なる解析を行うべく、ALDH2aの発現を促進、または抑制するようなイネ形質転換体を作成中である。
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