2004 Fiscal Year Annual Research Report
機能性糖の生産を目指した遺伝子工学による糖分解酵素の改質と生産
Project/Area Number |
02J08446
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉田 誠 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 酸性セロオリゴ糖 / セロビオース脱水素酵素 / CBCyt.b_<562> / 高機能性食品 / キノコ |
Research Abstract |
本研究は、高機能性食品として注目されてきている酸性糖を生産するため、セロビオースおよびセロオリゴ糖の還元末端を酸化しラクトンを生じる反応を触媒する酸化還元酵素であるセロビオース脱水素酵素(CDH)に注目し、この酵素を遺伝子工学的に高機能化し、それを用いることで機能性酸性セロオリゴ糖を効率良く生産することを目的としている。 これまで、食用キノコからのCDH遺伝子のクローニングおよびCDHの酵母菌における大量生産系の構築に成功している。さらに、電子伝達に関与すると予測されるアミノ酸残基を三次元構造から予測し、それを点変異のターゲットとして変異体作出を試みた結果、活性型の変異体を得ることに成功した。これに関して、現在投稿中である。ところで、CDHは酸化還元酵素であることから、その性質上、一連の酸化還元反応に際して、電子受容体が必要である。これまでに、本酵素の効率的な電子受容体としてチトクロムcが見いだされているものの、このタンパク質は非常に高価であり、産業的に用いるには不適である。そこで本年度は、CDH生産菌からCDHの電子受容体となりうるチトクロムを見いだし、それを酵母菌で大量生産することを目的として研究を行った。その結果、キノコ類のモデル菌であるPhanerochaete chrysosporiumから、新規のチトクロム(CBCyt.b_<562>)をクローニングすることに成功した。この遺伝子を酵母菌に導入し、組換え体としての生産を試みた結果、ヘムが適切に挿入された組換え体を得ることに成功した。このチトクロムは、チトクロムcと同程度の高効率で、CDHから電子を受け取ることが明らかとなった。したがって、このチトクロムがCDHを用いた酸性セロオリゴ糖生産システムの電子受容体として有用であると考えられ、本システムによって、効率的に酸性セロオリゴ糖を生産することが可能になった。
|
Research Products
(2 results)