2004 Fiscal Year Annual Research Report
南極周回気球搭載実験による低エネルギー反陽子流速の精密決定
Project/Area Number |
02J08454
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
松田 晋弥 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 宇宙線 / BESS / 反陽子 / 気球実験 / BESS-Polar / 中央飛跡検出器 / 南極周回 / 太陽活動 |
Research Abstract |
・過去8回にわたるBESSスペクトロメータを用いた気球実験によって、宇宙線反陽子の大部分が銀河内星間物質と宇宙線との衝突による二次起源によるものであり、またその流束が理論で予想される2GeV付近にピークを持つことが確かめられてきた。しかしながら低エネルギー領域に於いては統計量の不足から、宇宙線反陽子の流速に原始ブラックホールの蒸発などから生じると予測される「一次起源反陽子」からの寄与を受けたわずかな過剰があるという可能性を否定しきれなかった。 ・そこで低エネルギー領域におけるより精密な測定を行うため、南極周回による長時間観測が2004年の冬から2005年春にかけて南極において実施された(BESS-Polar計画)。アメリカ合衆国Goddard Space Flight Centerで行われてきた測定器の組み立て段階から通じてこの計画に参加し、実際のフライト地である南極においては中央飛跡検出器及びオペレーションのためのガスフローシステムなどを担当した。南極での約1ヶ月の準備期間の後、測定器の打ち上げは成功し、ほぼ当初の目的通りである8.5日の飛行時間を達成した。各測定器は正常に動作し、またガスフローシステムも安定したフローを供給することができた。 ・上記8.5日に及ぶ南極周回飛翔実験により、約900Mの宇宙線イベントを収集された。これは従来の5倍から10倍の統計量であり、低エネルギー反陽子の流束をかつてない統計精度で決定することができる。また同一の太陽活動期に多量の宇宙線イベントを収集することができたことは太陽活動の理解などにおいても大きな意義を持つ。現在はデータの解析を行っており、測定器の性能評価などがほぼ終了した段階である。
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Research Products
(1 results)