2002 Fiscal Year Annual Research Report
HIFを基点とする子宮内微小環境の再現と着床ゲノムモデルの開発
Project/Area Number |
02J08465
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
吉岡 健一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 低酸素 / 着床 / ゲノムモデル / 遺伝子発現制御 / mRNA / HIF (Hypoxia inducible factor) / 3'非コード領域 |
Research Abstract |
本研究は、着床期における子宮内微小環境を再現し、遺伝子発現の相互作用を解析し、ゲノムモデルを構築することを目的としている。 まず、子宮内腔が通常よりも低酸素状態であることに着目し、低酸素条件下における胚仔と子宮内膜細胞の共培養系を樹立することを試みた。低酸素培養器を用いて様々な酸素条件を作出し、子宮から回収した子宮内膜細胞の動態を確認することで、培養における最適酸素濃度を決定した。 1%、3%、5%及び20%酸素濃度において子宮内膜細胞を3日間培養し、増殖能力、生存率および低酸素誘導性遺伝子HIF (Hypoxia inducible factor)の発現を調べ、比較検討した。すると、酸素濃度が3%の場合において、子宮内膜細胞の増殖能力はやや弱いが、生存率も高く、HIF mRNAの発現も確認でき、生体における状態を最も良く反映していることが示唆された。 ここで低酸素状態に反応する際の基点として知られているHIF遺伝子の発現変化に注目するうちに、遺伝子発現の指標としてのmRNA量の変化は、mRNA合成の活性化つまり転写誘導作用ばかりでなく、mRNAの安定化つまりmRNAの分解抑制によっても制御されていることに着目する必要性が生じてきた。そこで、ウサギ網状赤血球ライセートを用いてmRNAの安定性の変化をノーザンブロット法により調べたところ、mRNAは3'側においてエンドヌクレアーゼ作用を受けて特異的に切断・分解されることや、poly (A) tailおよび3'非コード領域に特異的なタンパク質が結合することによって安定化していることが示唆された。
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Research Products
(1 results)