2002 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザルにみられる遺伝性および加齢性黄斑変性の病態機序の解明
Project/Area Number |
02J08469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 慎介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / カニクイザル / モデル動物 / ドルーゼン / 遺伝性疾患 / 連鎖解析 / 変異解析 / 網膜 |
Research Abstract |
加齢黄斑変性(AMD)は欧米において成人失明原因の1位となっており、我国でも急激に増加している。しかしながらその発生機序についてはほとんど明らかにされていない。その一因として、黄斑そのものが霊長類と一部の鳥類にしか存在しないため適切なモデル動物が得られていないということがあげられる。そこで本研究はAMDモデル動物を確立することを第一の目的とし、カニクイザルにみられる加齢性黄斑変性と遺伝性黄斑変性について解析を進めている。加齢性黄斑変性は老齢個体で散見され、AMDの最大の特徴であるドルーゼン(網膜色素上皮下への多形性物質の沈着)を呈するためAMDと類似の病態をとると考えられる。遺伝性黄斑変性は常染色体優性遺伝により若年性に発症しAMDと一部共通した所見を呈する。 本年度は加齢性黄斑変性モデルについては、依然不明であるドルーゼンの形成機序を明らかにするため、免疫組織化学的手法によりドルーゼンの組成について検討を行った。その結果、網膜色素上皮細胞によって産生されるbeta Amyloidが補体の活性化を引き起こし、それによる慢性的な炎症刺激がAmyloid P ComponentやApolipoprotein Eなどの炎症性タンパク、さらにVitronectin、Clusterin、MCPといった抗補体因子の集積を惹起している可能性が示唆され、ドルーゼンの形成に免疫異常が関与していることが明らかとなった。また遺伝性黄斑変性モデルについては原因遺伝子の同定のため連鎖解析を進める一方、ヒト遺伝性黄斑変性の原因遺伝子であるELOVL4とTIMP3を候補遺伝子としてSSCP (Single Strand Conformation Pormorphism)法と直接シークエンスにより疾患個体における変異解析を行った。その結果、疾患個体での有意な多型は認められず原因遺伝子として除外できた。
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Research Products
(1 results)