2004 Fiscal Year Annual Research Report
カニクイザルにみられる遺伝性および加齢性黄斑変性の病態機序の解明
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02J08469
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
梅田 慎介 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 加齢黄斑変性 / カニクイザル / モデル動物 / ドルーゼン / 免疫組織化学 / 液体クロマトグラフ質量分析計 / 補体 / 自己抗体 |
Research Abstract |
加齢黄斑変性(Age-related Macular Degeneration ; AMD)は糖尿病網膜症、緑内障と並ぶ失明原因となっているが、その発症メカニズムはよく分かっておらず、治療法もいまだ確立されていない。これは黄斑そのものが霊長類と一部の鳥類にしかないため適切なモデル動物が存在しないことが一因となっている。そこで、本研究はカニクイザルにみられる遺伝型と加齢型の2種の黄斑変性をAMDモデルとして確立し、その病態機序を解明することを目的とした。本年は加齢型モデルを用いて、ドルーゼンの形成メカニズムについて検討を行った。 ドルーゼンの組成についての免疫組織化学的解析により、ドルーゼン内で補体系の活性化を伴う慢性的な炎症が起こっていることを明らかにした。また、疾患眼からドルーゼンを分離し、液体クロマトグラフ質量分析計(LC-MS/MS)による網羅的組成解析を行い、Immunoglobulin gamma chain, Annexin, Crystallinなど60のタンパクを同定し、その半数がAMDドルーゼンと共通であることを示した。 疾患個体血清中に存在する網膜抗原に対する自己抗体をウェスタンブロット法によりスクリーニングした。結果、半数の個体が分子量38,40,50,60KDaのいずれかの網膜抗原を認識する自己抗体を1種以上持っていることが明らかとなった。これらの抗原をLC-MS/MS解析し、Annexin II(38kDa),μ-Crystallin(40kDa)を同定した。さらにリコンビナントプロテインを作製し、ELISA法により自己抗体価の測定を行い、疾患群において抗Annexin II抗体価の有意な上昇を確認した。 以上の結果より、ドルーゼンが網膜抗原に対する自己抗体の出現を端緒とした慢性炎症を基盤として形成されている可能性が示された。
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Research Products
(1 results)