2002 Fiscal Year Annual Research Report
組換え体ウナギ生殖腺刺激ホルモンの生理作用の解明と人為催熟への応用
Project/Area Number |
02J08477
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
亀井 宏泰 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ウナギ / 人為催熟技術 / 生殖腺刺激ホルモン / 遺伝子組換えタンパク質 / 酵母発現系 / 性ステロイド / 配偶子形成 / 内分泌支配 |
Research Abstract |
本年度は酵母発現系を用いて作製した組換えウナギ生殖腺刺激ホルモン(GTH)-Iの生理活性をさらに詳細に解析するとともに、同様の方法を用いて生理活性を有する組換えGTH-IIを作製することを目的として研究を行った。 まず、これまでに作製した組換えウナギGTH-Iの発達段階の異なるウナギ精巣における性ステロイド分泌促進作用を検討した。実験材料には、完全に未熟な精巣、およびヒト由来のGTHの繰り返し投与を行い成熟進行させた精巣を用いた。組換えウナギGTH-Iを未熟精巣の生体外培養系に添加した場合、添加した組換えウナギGTH-Iの用量依存的に精巣からの雄性ステロイド(テストステロン;Tおよび11-ケトテストステロン;11-KT)の分泌量に顕著な増加が認められた。しかし、同培養系に成熟を進行させたウナギの精巣を用いた場合おいては、未熟精巣の場合と同量の組換えウナギGTH-Iを添加したにも関わらTおよび11-KTの分泌量には顕著な変化が認められなかった。11-KTはウナギの精子形成誘導因子であることが明らかとなっている。今回行った実験の結果より、ウナギGTH-Iは主に未熟精巣に作用し精子形成を誘導する作用を持つことが示唆された。 また、以上のように生理活性を示す組換えウナギGTH-Iを作製した方法と同様の方法により、ウナギにおけるもう一つのGTHであるGTH-IIの組換え体を作製し、GTH-I同様にその生理作用を検討した。しかし、いづれの発達段階における精巣においても酵母で作製した組換えウナギGTH-IIは生理活性を確認できなかった。 酵母では作製した組換えGTH-IIは付加する糖鎖の種類やその立体構構造が天然型と異なっている可能性が考えられる。その為、現在は酵母発現系以外の発現系も用いて生理活性を有する組換えウナギGTH-IIの作製を試みている。
|