2003 Fiscal Year Annual Research Report
プロテインスプライシングを用いた生物個体内での蛋白質の構造変化検出法の開発
Project/Area Number |
02J08503
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
貝原 麻美 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 蛋白質間相互作用 / 発光検出 / 蛋白質リン酸化 / MAPK / 核内移行 |
Research Abstract |
生細胞内における蛋白質間相互作用を生物発光により検出する新規方法の開発に成功した. 生物発光酵素蛋白質であるRenilla luciferaseを二つに切断し,その各々に相互作用を起こす蛋白質を結合したキメラ蛋白質を作製,細胞内に導入した.相互作用を引き起こす蛋白質としてはインスリンシグナル伝達に非常に重要であると考えられるIRS1の941番目チロシンリン酸化部位周辺のアミノ酸ペプチド(Y941)とPI3Kのp85サブユニットSH2nドメインを用いた.細胞にインスリンを添加すると,ペプチドがリン酸化され相互作用が引き起こされる.この相互作用により二つに切断されているRenilla luciferaseが近接し,細胞膜透過性である基質coelenterazineを酸化し発光させる.本研究において最適なRenilla luciferaseの切断位置を見い出し,相互作用により発光強度を25倍程度増大させることに成功した.また,相互作用による近接に伴うRenilla luciferaseの活性が可逆的であることを確認し,発光活性が相互作用依存的であることを確認した.本方法を用いてインスリン添加によるY941とIRS1の相互作用のおきる細胞内における場所が細胞膜近傍のみであることを,近接したRenilla luciferaseの生物発光を顕微鏡下で検出することにより見い出した. 本方法は,生きた細胞内において蛋白質間相互作用が起きた部位を相互作用が起きている間,光らせることで相互作用の検出を可能にする新規方法である. 生細胞内におけるMAPKのひとつであるERK2の活性を発光により検出する新規方法の開発に成功した. 生物発光酵素蛋白質であるRenilla luciferaseを二つに切断し,その各々にプロテインスプライシング反応を起こすinteinとしてDnaEを結合し,片方にはERK2を直列に2つ,もう一方には核内移行シグナルであるNLSを結合させた2つのキメラ蛋白質を作製し,細胞内に導入した.ERK2はリン酸化されたのち,2量体を形成することで核内に移行する.この核内移行により核内において近接したDnaEのSplicing反応により切り出されたRenilla luciferaseは基質Coelenterazineを酸化し発光させる.本研究において,細胞へのインスリン添加により発光強度が,薬剤によりERK2のリン酸化を阻害した場合に比して8倍程度増大することを確認した. 本研究は,リン酸化していない単量体のERK2の拡散による核内への移行量を除外したERK2の活性化量を検出することを可能にする新規方法であり,他のMAPKの活性検出に広く応用が可能な方法である.
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Research Products
(1 results)
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[Publications] A Kaihara, Y Kawai, M Sato, T Ozawa, Y Umezawa: "Locating a Protein-protein Interaction in Living cells via Split Renilla Luciferase Complementation"Analytical Chemistry. 15巻・75号(16). 4176-4181 (2003)