2002 Fiscal Year Annual Research Report
分裂酵母の減数分裂特異的な還元型染色体分配の確立に関わるコヒーシンの機能
Project/Area Number |
02J08505
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Research Institution | The University of Tokyo |
Research Fellow |
横林 しほり 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分裂酵母 / 減数分裂 / 還元分裂 / コヒーシン / 染色体分配 |
Research Abstract |
生殖細胞において配偶子を形成するためには、DNA複製の後、連続した二回の染色体分配を行うことが必要である。まず減数第一分裂では、姉妹染色分体がスピンドルの同一極の方向へ移動する還元分配が起こり、続く減数第二分裂で姉妹染色分体は両極に分離する(均等分配)。つまり減数第一分裂において姉妹動原体の接着が維持され、さらに一方向からのスピンドルに捕らえられることが正確な染色体分配を行うために重要である。分裂酵母において減数分裂型のコヒーシンRec8は減数第一分裂における還元分裂の確立に重要な役割を担っていることが示されていた。しかし体細胞分裂期にRec8のみを強制発現しても還元分裂は起きないことから、還元分裂にはRec8と協調して働くさらなる因子が必要であることが示唆された。よって本研究では分裂酵母を用いて、還元分裂に必要な因子の探索系の立ち上げおよび探索を行った。 通常酵母は二倍体を形成して減数分裂過程に入るが、遺伝学的な操作をほどこすことにより一倍体のまま減数分裂過程に入り、さらに減数第一分裂後に減数第二分裂を行わず胞子を形成するような株を作製することができる。このような一倍体細胞では、減数第一分裂で通常の還元分裂を行うと、姉妹染色分体のペアがどちらか一方の娘細胞へ分配されるため、胞子の生存率は下がる。一方、減数第一分裂時に均等分裂が起きると、各胞子に染色体が均等に分配されるため胞子の生存率は高くなる。減数第一分裂が均等分裂になってしまう新たな変異を単離する目的で、栄養要求性マーカーであるウラシル遺伝子断片を非相同組換えによりゲノム上にランダムに挿入し突然変異を導入した。これらの細胞で減数分裂を誘導して、まず胞子の生存率を指標にし、さらに染色体の特定部位をGFP蛍光タンパク質で標識するシステムを用いて、均等分裂に近い分配様式を示すものを選択した。得られた変異体については、ゲノム状に挿入されたウラシル遺伝子カセットを指標にして原因遺伝子を同定した。現在のところRec8の他に既知の遺伝子が2つ、新規遺伝子が2つ得られている。今後はこれらの遺伝子の解析を進める予定である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Shihori Yokobayashi, Masayuki Yamamoto, Yoshinori Watanabe: "Cohesins determine the attachment manner of kinetochores to spindle microtubules at meiosis I in fission yeast"Mol.Cell.Biol.. (in press). (2003)
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[Publications] 横林しほり, 渡辺嘉典: "クロマチンと遺伝子機能制御(仮題) V生物種 1酵母"シュプリンガー・フェアラーク(in press). (2003)