2002 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08515
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鵜沼 毅也 東京大学, 物性研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | サブバンド間遷移 / 量子井戸 / 線幅 / 散乱 / 多体効果 |
Research Abstract |
サブバンド間遷移における電子の多体効果及び散乱メカニズムの影響を明らかにするために,以下の研究を行った。 1.高電子濃度InGaAs/AlAs量子井戸におけるサブバンド間吸収スペクトルを,ゲート電圧をかけた顕微FTIR分光技術によって系統的に測定した。また,補助的な実験として,多体効果による遷移エネルギーの変化(デポラリゼーションシフト)を電子ラマン散乱測定によって評価することを試みた。これまでの実験で,電子濃度が高いと吸収線幅の温度依存性が弱くなるなど,多体効果の反映と思われる傾向が観測された。より定量的な結果を得て論文にまとめるために,試料構造を最適化して来年度前半まで実験を継続する予定である。 2.電子濃度が高い場合に従来の吸収線幅の理論をどう拡張すべきか考察し,定式化を行った。その理論に基づき,界面ラフネス,フォノン,アロイ等の散乱体によって生じる吸収線幅を定式化し,移動度と比較しながらプログラミングにより数値計算した。その結果,吸収線幅に対する界面ラフネス散乱の寄与は,移動度に対する寄与よりも1桁大きく,極めて重要であることが明らかになった。さらに,界面ラフネスによる吸収線幅が均一幅か不均一幅かという議論があるが,私は,電子の平均自由行程に比べて界面ラフネスの相関長が短い場合に均一幅が生じ,相関長が長い場合に不均一幅が生じるという可能性を指摘した。これらの成果は,Journal of Applied Physics,及び第29回化合物半導体国際会議で発表し,日本物理学会第58回年会のシンポジウム「半導体量子構造中のサブバンド間遷移の物理と応用」でも講演を行う。 3.2の理論の特徴をデモンストレーションする実験として,量子井戸の中にポテンシャルを挿入し,予測された特徴的な吸収線幅の変化の様子を観測した。この成果は,日本物理学会2002年秋季大会で発表した。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] Takeya Unuma: "Intersubband absorption linewidth in GaAs quantum wells due to scattering by interface roughness, phonons, alloy disorder, and impurities"Journal of Applied Physics. 93巻3号. 1586-1597 (2003)