2002 Fiscal Year Annual Research Report
アメリカザリガニの硬組織の石灰化に関与する有機基質に関する研究
Project/Area Number |
02J08527
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 宏隆 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | バイオミネラリゼーション / 石灰化 / クチクラタンパク質 / キチン / アメリカザリガニ / 炭酸カルシウム / 外骨格 |
Research Abstract |
1.基質タンパク質の遺伝子のクローニング、発現解析 アメリカザリガニの外骨格中に存在するcalcification-associated peptide(CAP)-1は炭酸カルシウム結晶形成阻害活性とキチン結合活性を有している。CAP-1をコードするcDNAをクローニングし、その全塩基配列を決定した結果、ORFは297bpであり、シグナルペプチドとCAP-1前駆体に加え、天然物CAP-1には存在しないArg-Lysの2残基をC末端にコードしていた。RT-PCRを用いた部位および時期特異的発現解析を行った結果、CAP-1遺伝子は外骨格の石灰化が起こる脱皮後期にのみ、上皮組織において強く発現していることが示された。 2.CAP-1の機能部位解析 天然物と組み換え体の結晶形成阻害活性を比較した結果、天然物の70残基目に存在するリン酸基が阻害活性に重要な役割を果たしており、天然物CAP-1には存在しないC末端の2残基も阻害活性の上昇に関与していることがわかった。 3.外骨格由来の他の炭酸カルシウム結晶形成阻害活性タンパク質の機能、構造解析 CAP-1と同様な手法で外骨格からCAP-2を精製、単離し、構造および機能解析を行った。CAP-2は65残基からなるペプチドであり、CAP-1と同様、キチン結合活性を有していたが、結晶形成阻害活性はCAP-1の約1/10であった。CAP-2のアミノ酸配列を基にCAP-2をコードするcDNAをクローニングし、その全塩基配列を決定した結果、ORFは252bpであり、シグナルペプチドとCAP-2をコードしていた。RT-PCRを用いた部位および時期特異的発現解析を行った結果、CAP-2遺伝子はCAP-1と同様に脱皮後期にのみ、上皮組織において強く発現していることが示された。
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Research Products
(1 results)