2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08536
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
大谷 美沙都 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 分化全能性 / 脱分化 / 分裂組織形成 / SRD2 / snRNA / 増殖能 |
Research Abstract |
培養組織片を材料にした一過的発現実験を行い、SRD2タンパク質の分子機能について解析を行った。野生型、srd2変異体の胚軸由来カルスを発根誘導培地に置床し、U2.3snRNAのプロモーターにレポーター遺伝子を繋いだキメラ遺伝子を一過的に導入したところ、srd2変異体カルスではU2.3プロモーター活性が温度感受性を示すことが明らかとなった。この温度感受性は野生型SRD2 cDNAの同時導入によって回復した。以上から、SRD2タンパク質の一次機能がsnRNA転写活性化であることが示された。さらに、U2 snRNAのようなUSE-TATA型プロモーターを持たず、クラスターを成した形でゲノムにコードされているsnRNAについて、脱分化過程におけるレベル変動をRNAゲルブロット解析で調べた。この結果、クラスター型snRNAのレベル変動はsrd2変異の影響を受けないことが分かり、SRD2はUSE-TATA型プロモーターに作用して機能することが示唆される。 また、snRNAのトリメチルグアノシン(TMG)キャップ構造に対する抗体を用いたRNAゲルブロット解析の結果から、根は胚軸に比べてsnRNA蓄積量が高いことが示された。さらにU2.3プロモーターにGUS遺伝子を繋いだキメラ遺伝子をもつ形質転換植物体においても、根では胚軸に比べてより高いGUS活性が観察された。これらは、これまでに考えてきた、根は胚軸よりも細胞増殖能が高く、増殖能の分子的実体はsnRNAであるという仮説を支持するものである。 srd2ノックアウト変異体に関しては、SRD2遺伝子座にT-DNA挿入をもつタグラインを購入し、解析を始めている。これまでに得た結果から、T-DNA挿入をホモで持つ個体は、胚発生の段階で致死である可能性が高い。
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