2004 Fiscal Year Annual Research Report
レプトマイシンBを用いた核外移行蛋白質の同定とその機能に関する研究
Project/Area Number |
02J08543
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
鎌田 綾子 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | レプトマイシンB / 核外移行 / Crm1 |
Research Abstract |
レプトマイシンB(LMB)は、核外移行シグナルの受容体Crm1に特異的に共有結合し、蛋白質核外移行を阻害する。最終年度である今年度は、以前のスクリーニングにより見いだしたLMB添加による微小管構造の変化に関する解析を引き続き行った。 これまでの解析の結果から、LMB添加後にM期の紡錘体微小管様構造体が核内に生じること、この構造体が様々な面でM期の紡錘体微小管とは異なることが明らかになっていた。これらのことから、以下の3つの仮説をたてた。(1)LMB添加によりpremature mitosisが起きて擬似的な紡錘体微小管が生じた。(2)LMB添加により核内のtubulin濃度が上昇し、核内微小管の重合が起きた。(3)LMB添加により、核内に微小管重合を引き起こす因子Xが蓄積し、その結果核内で微小管重合が起きた。これらの仮説を元に実験を行った。 まず(1)の仮説を検討するために、前年度行った実験の確認も含めて。Spindle pole body(SPB)、微小管、キネトコア、核膜などの蛍光マーカー蛋白質を発現する株を構築し、単染色、二重染色、三重染色して、LMB添加後の紡錘体微小管様構造体の性質を調べた。その結果SPB、キネトコアともに、微小管上には存在せず、微小管上以外の核膜に留まっていることが明らかになった。このことは前年度の実験と同様M期の紡錘体微小管とは異なることを示唆する。またM期特異的なリン酸化残基を認識する抗体MPM-2を用いた実験でも、LMB添加後に特にMPM-2認識蛋白質が増えることもなく、さらに窒素飢餓で細胞周期をG1期に止めた状態でLMBを添加しても紡錘体微小管様構造が生じたことからも、LMB添加による微小管構造の変化は細胞周期には非依存的、すなわち(1)premature mitosisiが起きて擬似的な紡錘体微小管が生じている、という仮説が否定できることが示された。現在、(2)、(3)の仮説について検討するため、実験を行っているところであります。
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