2002 Fiscal Year Annual Research Report
硬X線・ガンマ線観測による銀河系内の拡がった非熱的放射の解明
Project/Area Number |
02J08554
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
佐藤 悟朗 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | Swift衛星 / BAT / 硬X線・ガンマ線観測 / ガンマ線バースト / 硬X線サーベイ / CdZnTe検出器 / μτ積 / スペクトルモデル |
Research Abstract |
現在、アメリカ合衆国NASAゴダード宇宙飛行センターにおいて、Swift衛星搭載Burst Alert Telescope(BAT)の製作・組み立て作業が進行中である。私は実際に現地に長期滞在し、その各段階で行われる検出器の地上較正実験に参加した。地上較正実験の主要な目的は、検出器が正常に動作することを確認すること、正しいスペクトル情報や画像情報を得られるように検出器の応答関数を構築することなどである。 我々はまず、半導体検出器(CdZnTe半導体検出器)の後段回路の特性評価を行い、従来から言われていた読み出し回路の積分型非線形性に加え、微分型非線形性を発見した。そこで、生データからこれら後段回路の影響を補正したデータを生成するプロセスを作り上げた。このプロセスは、較正実験で取得した全データに対して適用するものである。こうしたデータ処理を行った後、CdZnTe検出器自体の特性評価を行った。CdZnTe半導体は新しい半導体であるがゆえに、素子中でのホール移動度が低く寿命が短いという特徴がある。この移動度と寿命の積(μτ)というパラメタが、素子中での平均自由行程に比例するため、スペクトルの形状を決定するキー・パラメタとなっている。私は以前、このμτ積を組み込んだスペクトルモデルの構築に成功しており、このモデル関数を用いたスペクトル評価法を、BATの約3万個のCdZnTe検出器一つ一つに適用した。その結果、値として一桁以上という予想を上回るバラつきが確認され、これは検出器を切り出す元となる結晶インゴットの違いによるものであることが判明した。我々は現在、求まったパラメタを用いて、異なる角度から照射されたスペクトルや、異なるエネルギーの入射フォトンによるスペクトルのモデル化を進めている。これらは最終的に、BAT検出器全体の応答関数に組み込んでいく計画である。
|
Research Products
(1 results)
-
[Publications] G.Sato, T.Takahashi, M.Sugiho, M.Kouda, T.Mitani, K.Nakazawa, Y.Okada, S.Watanabe: "Characterization of CdTe/CdZnTe detectors"IEEE Transactions of Nuclear and Science. Vol.49, No.3. 1258-1263 (2002)