2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08581
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
伊吹山 秋彦 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 銀河形成 / 数値実験 / 遠方銀河 |
Research Abstract |
近年、遠方には近傍とは異なる銀河種族が存在することが明らかとなってきた。これらは不規則な形状をもち、ダストによる吸収をうけることがある。既存のモデルでは、このような銀河種族の観測結果を理論的に解釈することは困難である。また既存の銀河形成理論モデルではミッシングドワーフ、オーヴァークーリング問題のため近傍銀河の性質が再現できない。 このような難点を克服すべくわれわれは新たに星形成、構造形成、銀河内輻射輸送を整合的に扱ったモデルを構築した。本モデルはN体SPH法により構造形成を計算する。銀河内では冷却されたガスから星が形成され、星の死に伴って星間空間にガス、エネルギー、重元素を再放出する。OB型星からの紫外輻射は中性水素の光電離、電離水素の再結合、ダストによる紫外線吸収という3つの過程で星間ガスと相互作用する。光電離により、ガスの冷却は妨げられる。また本モデルでは不規則な形の銀河に対してもダスト吸収を考慮して銀河のSEDを計算できる。 紫外線による星間ガスの加熱を考慮した場合、ガスの銀河からの流出が見られる。星形成はz=3付近で顕著で、Z=2からz=1の間では断続的となる。紫外線を考慮するとz<1での星形成が抑制される。本モデルはz=0で近傍楕円銀河と一致した性質を示す。さらにモデルと遠方銀河を比較した。代表的なモデルでは、銀河は4.5>z>2.8でLBGとなる。さらにz=3.0からz=1.8にかけてはBzK銀河となり、EROの時期を経て近傍楕円銀河へと進化する。すべての数値実験においてz=4付近のLBGから1.8<z<3のBzKを経て楕円銀河へ進化するという経路は一致する。 構造形成、星形成、輻射輸送を整合的に扱うことによってはじめて、モデルを最新の観測と比較し銀河の進化経路を議論することが可能となった。われわれはLBGがBzK銀河を経て、楕円銀河へ進化する、という結果を得た。
|
Research Products
(1 results)