2004 Fiscal Year Annual Research Report
シロアリの兵隊カースト分化における形態形成の分子メカニズムと社会進化に関する研究
Project/Area Number |
02J08585
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
越川 滋行 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | シロアリ / カースト分化 / 兵隊 / 遺伝子発現 / ディファレンシャル ディスプレー / Ciboulot / リアルタイム定量PCR / 幼若ホルモン |
Research Abstract |
社会性昆虫の生態において最も重要な要素であるカースト分化は、生態学・進化学において非常に興味深い対象であるにもかかわらず、その機構に関してまだ未知の部分が多い。本研究ではシロアリの兵隊カーストについて分化時の形態の変化とその機構を形態学・組織学・分子生物学の手法を用いて多面的に解析した。本年度は特に、兵隊分化過程で特異的に発現する遺伝子を検出するため、幼若ホルモン類似体JHAで兵隊分化を誘導した個体の大顎からmRNAを抽出しディファレンシャルディスプレー法による探索を行った。得られた遺伝子配列の中で、既知の遺伝子と相同性があり、定量PCRにより発現量の差が確認されたものは12遺伝子であった。これらの多くは前兵隊への脱皮直前に大顎での強い発現が認められている。中でも、アクチン結合タンパク質であるCiboulotのホモログは脱皮直前に発現が顕著に増加し、in situハイブリダイゼーションによって大顎表皮組織で発現していることが確認された。先行研究から、Ciboulotはアクチン細胞骨格の重合を通じて細胞の形態形成に直接関与していることが知られている。したがってシロアリのCiboulotは兵隊分化時の大顎形成に直接的な役割を果たしている可能性が高い。またシロアリでは機能が異なる複数のIsoformが存在し、それらが時期および体の部域ごとの相対成長を制御している可能性が考えられた。これらの研究成果は国際誌に投稿し、また、日本進化学会第6回大会、日本昆虫学会第64回大会、国際昆虫学会議(ICE)第22回大会で発表した。
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Research Products
(4 results)