2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経回路網形成や可塑的変化におけるMT-MMPの関与
Project/Area Number |
02J08601
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
野中 孝浩 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | MMP / 神経因性疼痛 / 遺伝子欠損マウス / 神経可塑性 |
Research Abstract |
神経系の可塑的変化というと、LTPやLTDといったシナプスにおける伝達効率の変化のみが注目されているが、同時にシナプスが再構築され、形態的な変化が生じることも明らかになりつつある。その変化には早いダイナミックな反応による細胞外マトリックスの分解が必須であり、プロテアーゼの関与が考えられる。細胞外マトリックスの分解に関わる膜型マトリックスメタロプロテアーゼ(MT-MMP)のうち、MT4-、MT5-MMPが神経系に発現していることが知られている。 そこで最初に、MT4-、MT5-MMPの詳細な発現部位を、遺伝子欠損マウスを用いて解析した。定量的RT-PCRおよびLacZ染色、免疫染色によりMT4-MMPおよびMT5-MMPの生理的な発現部位を同定した。 神経系の形態変化が観察される例として、神経因性疼痛の発症の際に観察される、脊髄後角における軸策の伸長が知られている。そこで、MT5-MMP遺伝子欠損マウスを用いて神経因性疼痛モデルを作成し、疼痛に対する反応を検討したところ、遺伝子欠損マウスで疼痛に対する閾値の低下が観察された。 また、その際、遺伝子欠損マウスで軸索の伸長が認められなかった。 このことから、疼痛に対する閾値の低下はMT5-MMPの欠損によると考えられ、また、その原因として、遺伝子欠損マウスで軸索の伸長が起こらなかったことによると考えられた。
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