2004 Fiscal Year Annual Research Report
11族遷移金属イオン間の弱い相互作用を駆動力とする階層的自己組織化による機能発現
Project/Area Number |
02J08638
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
岸村 顕広 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 金属間相互作用 / 11族金属 / デンドリマー / 発光材料 / ソフトマテリアル / セキュリティ材料 / ゲル化剤 / センシング材料 |
Research Abstract |
現在、多彩な機能を期待できる分子モジュールとして、金属錯体を用いた新しい材料設計に注目が集まっている。特に、ナノマテリアルに関連して、『集積型金属錯体』の発展が目覚ましい。しかし、これらはクリスタルエンジニアリングとの関連から語られる場合が多く、ソフトマテリアルとしては未成熟と言える。一方、超分子化学の世界では、その成熟とともに、分子自体の性質に基づいて予めプログラムされた『集積体』の構築が盛んに行われ、特にソフトマテリアルとして具体的な応用が求められるようになってきた。本研究では、これら二つの分野で得られている知見を基に、金属錯体をベースとする新規なソフトマテリアルの創成を目指した。これまで、『11族遷移金属イオン間に働く弱い相互作用』に注目することにより、集積化と同時に、発光機能が発現する材料を設計し、集積構造の変化に同期して、発光機能のスイッチングができる材料を開発している。これまでに、11族金属ピラゾール錯体からなる集積体に基づいた有機ゲル化剤の研究を進めた結果、ゾルーゲル転移や化学的刺激に対応して発光色をスイッチング(赤、青、緑)できる材料を開発することに成功した(J.Am.Chem.Soc.2005,127,179.)。さらに、一般的な熱転写プリンタにより印刷可能なリライタブルなセキュリティ材料を開発した(論文投稿中)。一方、ある種の11族金属ピラゾール錯体微結晶が、一部の揮発性の有機溶剤蒸気に応答して発光色をスイッチさせることを見いだし、簡便なセンサー材料への応用への道を拓いた。これらの材料開発を通し、集積構造の変化を発光機能の変化として顕在化できる手法を確立し、ソフトマテリアルに基づく発光材料設計の新しいアプローチを提供した。
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Research Products
(1 results)