2004 Fiscal Year Annual Research Report
理論統計学に基づく新しい機械学習システムの開発及びその生体脳研究への応用
Project/Area Number |
02J08672
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小林 景 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | グラフィカルモデル / ベイジアンネットワーク / 最適制御 / 意思決定問題 |
Research Abstract |
ネットワークモデルにおける意思決定問題は,確率モデルと効用関数および観測値が与えられたときに,効用関数の条件付期待値を最大化するような決定を求める理論である.特に,確率モデルや効用関数の独立関係を表すグラフの形状を生かして,最適決定を効率よく計算することができる. しかし,正規分布に従う変数のみでモデルが構成されるときの計算方法は知られているが,離散変数を含む一般のモデルでの最適な決定を,グラフの特徴を生かして効率的に計算する方法は知られていなかった. 本研究では,まず正規変数と離散変数をともに含むようなモデルにおいて,Junction Tree Algorithmと呼ばれる手法を応用した最適決定アルゴリズムを提案し,グラフの特徴を利用した計算量の減少を実現した.その際にLauritzen等により提案されたstrong rootの議論を用いた.さらに線形指数二次ガウス(LEQG)モデルと呼ばれる最適制御理論をグラフィカルモデルに拡張することによって,決定者が楽観性,悲観性をもつ場合の最適決定の理論を構築した.次に,ロバスト性をもつ制御として知られるH∞最適制御理論を拡張した,一般化H∞最適決定の理論を提案した.また,一般化H∞最適決定が,楽観性をもつ決定理論の最も悲観的な極限と一致することを証明した.また,コレスキー分解を用いることにより,一般化H∞最適決定を直接求める方法も示した. 本研究は離散変数と連続変数の混在モデルの最適決定アルゴリズムを提案し,楽観性を決定問題に導入したことによって,ネットワークモデルの最適決定の理論を大きく拡張することに成功した. 本研究は2004年度統計関連連合大会およびSecond Latin American Congress on Bayesian Statisticsにおいて発表された.また,論文誌に投稿中である.
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