2003 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理・分子動力学計算による立方晶窒化ホウ素薄膜形成機構の研究
Project/Area Number |
02J08677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 裕明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 立方晶窒化ホウ素 / 第一原理計算 / 薄膜 / エピタクシー / cBN(001) / 吸着構造 / 表面反応 / 表面拡散 |
Research Abstract |
本研究では、ダイヤモンドとならび次世代の産業基盤材料として期待されている立方晶窒化ホウ素(cBN)の薄膜蒸着法開発の理論的基礎研究として、薄膜形成の素過程を第一原理計算をはじめとする電子論・分子論的シミュレーションを用いて解明することを目的としている。初年度(平成14年度)では、そのための第一歩として、第一原理計算結果をよく再現する窒化ホウ素(BN)用の強束縛近似(TB)パラメータの決定を試みた。本年度(平成15年度)では、cBN薄膜のエピタクシャル成長を実現する画期的な方法を考案し、その実現可能性を示すためcBN(001)表面での吸着、反応、拡散の素過程について研究した。計算手法としては、この新成長法で出現する構造がTBで再現できる典型的なsp^2やsp^3の電子状態から大きくはなれるため、初年度作成したTBパラメータではなく、ウルトラソフト擬ポテンシャル・平面波展開による密度汎関数法を用いた。本計算では以下の知見が得られた。第一に、cBN(001)のB(N)面上へのN(B)原子吸着は、表面構造のsp^2化を誘起しない。第二に、cBN(001)のN面上への窒素吸着はエネルギー的に不利である。第三に、cBN(001)のB面上のB吸着原子の拡散バリアは小さい(約0.5eV)。第4に、B(N)格子位置にN(B)原子が吸着してできるアンチサイトを修復するB-N交換反応が存在する。今後は、これらの知見をもとに新成長法の実現可能性を示し、さらに、ダイヤモンド(001)などの基板上でのcBNエピタクシャル成長の可能性について検討する予定である。本研究ではまた、原子スケール動的過程解析のための計算結果視覚化プログラムを作成している。このプログラムは本研究だけでなくハイブリッド計算手法の開発に使用されている。
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Research Products
(1 results)
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[Publications] H.Koga, Y.Nakamura, S.Watanabe: "Repulsion-induced order formation in graphite-diamondlike transition of boron nitride : A molecular dynamics study"Journal of the Physical Society of Japan. 72. 1611-1614 (2003)