2002 Fiscal Year Annual Research Report
第一原理・分子動力学計算による立方晶窒化ホウ素薄膜形成機構の研究
Project/Area Number |
02J08677
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
古賀 裕明 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 窒化ホウ素 / 第一原理計算 / 強束縛近似 / 分子動力学法 / 薄膜 / 密度行列法 / プラズマ |
Research Abstract |
本研究では、ダイヤモンドとならび次世代の産業基盤材料として期待されている立方晶窒化ホウ素(cBN)の薄膜蒸着機構を、第一原理計算や強束縛近似分子動力学シミュレーションを用いて原子スケールで解明することを目的としている。そのための第一歩として、第一原理計算結果をよく再現する窒化ホウ素(BN)用の直交型強束縛近似(TB)パラメータの決定を試みた。BNや炭素など、sp^2とsp^3の多形が存在し、しかもそれらのエネルギー差が100meVに満たない物質では、両方の構造を十分に再現するパラメータを得ることは非常に困難である。一般には、Xuらの炭素用パラメータ[Xu et al.,J.Phys. : Condens.Matter 4(1992)6047]のように、強束縛近似の反発エネルギーに単純な2体ポテンシャル近似を超える非線形性を持たせる方法(埋込型ポテンシャル)が用いられているが、このようなポテンシャルは近距離側で負の無限大に発散するという深刻な欠点があることが本研究の過程で明らかになった。このような近距離での反発力が十分でないパラメータは、運動エネルギー数百eV程度の堆積種が用いられるcBN蒸着プロセスのシミュレーションには使用できない。そのため、埋込型ポテンシャルを使わずにBN系を再現できるTBパラメータの作成を試みた。高密度下でもcBNがグラファイト構造に変化しやすい等の問題があったが、グラファイト化の経路も含めて第一原理計算の結果を再現するように最適化することで、埋込型ポテンシャルを使わない直交型パラメータとしては初めてBNのsp^2、sp^3の両構造を再現し、蒸着シミュレーションで使用可能なパラメータを得ることができた。本研究ではまた、原子スケール動的過程解析のための計算結果視覚化プログラムを作成しており、BNだけでなく銀吸着シリコン表面の研究にも役立っている。
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Research Products
(1 results)