2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08734
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
芦谷 竜也 九州大学, 大学院・農学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 樹皮 / 液化 / フェノール / 硬化物 / 接着剤 / 抗害虫活性 / グリコロール・バイサルファイト |
Research Abstract |
1.フェノールを用いた樹皮液化法の検討 スギ樹皮とフェノールを硫酸触媒下,200℃,250℃の各温度で液化した. 200℃での反応では,15分から30分の反応時間で徐々に可溶化率が上昇することが示され、60分の反応で90%の可溶化率が得られたが,90分間の反応では60分間の反応と比較して可溶化率が低下した.これにより、グリコール・バイサルファイト法の液化反応でも観察された可溶化物同士の縮合が,フェノール液化においても生じていることが示された.250℃での反応では,15分の反応時間で90%近くの可溶化率が得られ60分の反応では93%の可溶化率が得られた.また.200℃での反応で観察された90分以上での可溶化率の低下は観察されなかった。この結果より,フェノール溶媒による樹皮液化は,200℃と250℃で樹皮成分の分解挙動が異なり,200℃では過溶媒分解反応が緩で,分解物の低分子化が完全で無いため再縮合反応が生じが,250℃では過溶媒分解反応と熱分解反応で、急速に低分子化が生じ,フェノールと反応することで,再縮合反応が抑制されていると考えられた. また,フェノール液化法で,得られた液化物とヘキサミンとの反応により,硬化物を調製することが可能であった.よって,樹皮液化物を接着剤や,構造材として応用できる可能性が示された. 2.グリコール・バイサルファイト法による樹皮液化物の害虫忌避性 樹皮液化物から得られたウレタン材料を家屋構造材として使用する際の害虫防除性について,抗ダニ活性および抗蚊活性を,ポリエチレングリコールをコントロールとして比較検討した. その結果コントロールと比較して,グリコール・バイサルファイト液化法によって得られたスギ,ヒノキ,ラジアータパインの樹皮液化物は,マラリア蚊およびダニに対して忌避活性を有していることが示された.
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Research Products
(1 results)