2003 Fiscal Year Annual Research Report
サイトカインシグナル制御遺伝子CIS3の発現調節と生理機能の解明
Project/Area Number |
02J08743
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
加藤 玲子 九州大学, 生体防御医学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | チロシンキナーゼ / FGF受容体 / Ras / MAPキナーゼ / EGF受容体 / Raf / 細胞膜 / シグナル伝達 |
Research Abstract |
Spred/sproutyファミリー分子はRas/MAPK経路の阻害作用を有する。Spred-1は造血細胞に発現しており、今回KOマウスを用いてSpred-1の造血系での機能解析を行った。Spred-1ノックアウトマウスの脾臓では骨髄性の細胞、特に巨核球の異常増殖がみられた。また7ヶ月齢以上のKOマウスでは脾臓の巨大化がみられ骨髄性の細胞で充満しMyeoproliferative-diseaseを発症してた。このことからSpred-1が造血において負の制御因子であることが示唆された。そこで抗癌剤である5-FUに対する反応性をみたところ、5-FU投与後3-7日における白血球、赤血球の減少がSpred-1ノックアウトマウスの方がWTより少なく5-FUに抵抗性があると考えられた。また血小板においてはWTに比べると回復期の増加が少なく、これはMAPKが亢進すると血少板の産生が抑制されるという報告と考えあわせるとSpred-1ノックアウトマウスでMAPKの活性が亢進していることを反映していると思われる。さらにSpred-1が造血前駆細胞の数に影響がないか確認するため、BMにレトロウイルスでfull Spred-1,ΔC Spred1を導入して、コロニー形成能をみたところfull Spred-1はコントロールに比べて形成したコロニーの数が少ないのに対してΔC Spred-1は若干多かった。また、WT,Spred-1KOマウスのBMのコロニー形成能を比較したところ、約1.5倍程Spred-1KOマウスが多い傾向がみられた。これに対して脾臓でのコロニー形成能はSpred-1KOマウスが約5-10倍あった。したがって脾臓において得に造血前駆細胞が著しく増加してると思われる。また、WT及びSpred-1KOマウスのprimary Mast cellを用いて、IL3,SCFに対する反応性をみたところWTに比べてKOの方がいずれの刺激に対してもMAPKの活性化を増強することがわかった。 以上の結果よりSpred-1はIL-3やSCFといった造血系サイトカインによるMAPキナーゼ活性化の負の制御因子でありその欠失は造血前駆細胞の増加やmyeroproliferative-diseaseの発症に寄与することが明かとなった。
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Research Products
(3 results)
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[Publications] Sasaki A, Taketomi T, Kato R, Saeki K, et al.: "Mammalian Sprouty4 suppresses Ras-independent ERK activation by binding to Raf1"Nature Cell Biol. 5. 427-432 (2003)
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[Publications] Kato R, Nonami A, Taketomi T, et al.: "Molecular cloning of mammalian Spred-3 which suppresses tyrosine kinase-mediated Erk activation."Biochem Biophys Res Commun.. 302. 767-772 (2003)
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[Publications] 吉村昭彦, 加藤玲子, 佐伯和子: "チロシンキナーゼシグナルの正と負の制御"実験医学. 21. 146-152 (2003)