2002 Fiscal Year Annual Research Report
歯周病原性細菌による宿主細胞傷害機構の分子細胞生物学的解析
Project/Area Number |
02J08749
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
馬場 貴代 九州大学, 大学院・歯学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | gingipains / 歯周病 / Porphyromona gingivalis |
Research Abstract |
歯周病原性細菌Porphyromonas gingivalisの宿主細胞(特に血管内皮細胞)に対する傷害機構の解析を行った。P.gingivalis野生株の培養上清をヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)に添加したところ、時間依存的に細胞は円形化、浮遊化し、それに伴って細胞生存率も減少した。P.gingivalisによって産生される2種類のシステインプロテアーゼArg-gingipain(Rgp)とLys-gingipain(Kgp)の各酵素欠損株および両酵素欠損株の培養上清を添加したところ、各酵素欠損株では細胞傷害性を一部抑制し、両酵素欠損株ではほぼ完全に抑制した。RgpおよびKgpのそれぞれに対する特異的阻害剤KYT-および36を単独または併用して添加したところ、KYT-36単独作用では細胞傷害性を一部抑制し、KYT-1単独、および両阻害剤の併用では有意に抑制された。次にP.gingivalis感染による血管内皮細胞の機能障害について調べるために、interleukin-8(IL-8)およびmonocyte chemoattractant protein-1(MCP-1)のmRNAレベルを調べたところ、P.gingivalisの感染によりIL-8およびMCP-1の発現は著しく上昇した。P.gingivalis感染後にHUVECから産生される各サイトカインの量を測定したところ、時間依存的に産生量は増加するものの、非感染細胞からの産生量に比べて有意に減少した。Rgp、Kgpの各酵素および両酵素欠損株を感染させたところ、Rgp欠損株では野生株と同様に各サイトカインの産生量が減少し、Kgp欠損株では、感染後初期には有意に減少したが、両酵素欠損株の感染では非感染細胞と同程度のサイトカインが産生された。また、野生株の感染では細胞内の各サイトカインのタンパクレベルでの発現は有意に減少したが、各欠損株では野生株のようなタンパクレベルでの減少はみられなかった。
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Research Products
(1 results)