2002 Fiscal Year Annual Research Report
空間生態学の展開:熱帯林の土地利用動態の解析と将来予測
Project/Area Number |
02J08863
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
佐竹 暁子 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | 空間データ / 相関解析 / 同調 |
Research Abstract |
森林の樹木が空間的に広い範囲にわたって同調して開花、結実する一斉開花結実現象をノルウェーで観測された空間データをもとに解析した。データは、ペンシルバニア州立大学のBjornstad博士から提供していただいたもので、ノルウェーにおいて落葉性の樹木Sourbus aucupariaの個体レベルの種子量およびその空間配置、また種子捕食者であるapple fruit mothの個体数がほぼ20年にわたって観測されている。このデータ解析から、樹木個体間での種子量の同調レベル、同調スケール、繁殖周期を特定した。(1)植物の種子生産が空間的に広い範囲で同調していること、(2)階層が高いほど同調のレベルが低下すること、(3)ノルウェー西部と東部においてはっきりとした繁殖周期の違いが見られること、(4)種子量が変動することで、種子捕食者が飽食されていること、(5)飽食の程度は種子量の変動が大きいほど増加すること、が示された。結果のうちとくに(5)は、この研究によって初めて示された事実である。 樹木の繁殖パターンは、作られた花や種子を餌とする生物個体群の将来を左右する重要な要因である。そこで、樹木の結合マップモデルに捕食者のダイナミックスを導入することで、樹木の間欠的繁殖が高次の階層レベルへ及ぼす影響を理論的に検討した。さらに、捕食者の個体数変動データを解析し、変動の大きさやそのサイクルが樹木の繁殖パターンにコントロールされる様式を読み取みとった。 これらの研究を論文にまとめ、現在Oikosに投稿中である。
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Research Products
(2 results)
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[Publications] Satake, A., Y.Iwasa: "The Synchronized and intermittent Reproduction of Forest trees is mediated by the Moran Effect, only in association with Pollen Coupling"Journal of Ecology. 90. 830-838 (2002)
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[Publications] Iwasa Y., A.Satake: "The Mechanism Inducing Spatially Extended Synchrony in Mast Seeding : the Role of Pollen Coupling and Environmental Fluctuation"Ecological Research. (in press).