2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08864
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
村上 雄樹 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | トリエン脂肪酸 / 高温耐性 / 高等植物 / 光合成系 / 温度適応 / 蛍光 |
Research Abstract |
高等植物の生体膜脂質のトリエン脂肪酸は植物の温度適応と密接に関係すると考えられてきた。葉緑体膜脂質中のトリエン脂肪酸が高温下では減少するといった生理現象について、この脂肪酸含量を顕著に減少させたタバコのジーンサイレシング系統株(T系統株)と野生株を用いて解析した。その結果、高温ストレス下においてT系統株の方が野生株よりも、生長量や枯死の程度および酸素発生量(光合成活性)において熱安定性が優れていることがわかった。このことから、植物の上述における生理現象は高温耐性能を向上させていることが明らかになった。しかし、光合成系の光化学系複合体II(PSII)について、パムシステムを用いて高温処理後の活性(Fv/Fm)について調べたが、有意差はなかった。現在は、ストレスに対する光合成系の防御システムの一つであるキサントフィルサイクルに対してトリエン脂肪酸の減少量が関係しているのかパムシステムを用いて、蛍光パラメーター(qN、NPQ)を指標に調べているが、酸素発生量測定で有意差のあった45℃では有意差があるように思われる。引き続き両パラメーターからの解析を進める。また、電子伝達量の効率性(Yield)を示す蛍光パラメーターからは25℃から45℃でT系統株の方が野生株よりも優れていることがわかってきている。しかし、通常の生育温度(25℃)で生長量測定では有意差はなかったが、YieldでT系統株の方が野生株よりも有意差のある理由については、現在のところ不明である。
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