2003 Fiscal Year Annual Research Report
ショウジョウバエを用いた味覚受容分子機構の神経生物学的解析
Project/Area Number |
02J08874
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
石元 広志 九州大学, 大学院・理学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | ショウジョウバエ / 化学感覚 / 味覚 |
Research Abstract |
ショウジョウバエは分子、組織、神経および行動の様々なレベルで味覚受容機構解明にむけた研究が可能である。本研究は、味覚受容に関わる遺伝子を網羅的に同定するために、高密度オリゴヌクレオチドマイクロアレイを用いたゲノムワイドなスクリーニングをおこなった。ショウジョウバエの味覚感覚器が機械感覚器にtransformしたpoxn突然変異体と野生型由来のtotal RNAからプローブを作製してスクリーニングに用いた。poxn突然変異体で遺伝子発現量が有意に低下している遺伝子は味覚受容分子機構に関与していると考えらられる。スクリーニングの結果得られた遺伝子の中に、三量体Gタンパク質を構成する分子であるGγ1遺伝子があった。遺伝子のpromoter領域下流にP{GAL4}エレメントが挿入した系統をUAS-GFP系統と交配すると、GFPの蛍光を指標にしてGγ1遺伝子の発現部位を調べることができる。その結果、ショウジョウバエの味覚器である唇弁およびフ節の味細胞でGFPの蛍光が観察された。次に神経応答を阻害するUAS-EKO(electrical knock-out)系統をP{GAL4}系統と交配して味物質に対する神経応答を電気生理学的に調べた。その結果、糖に対する神経応答が低下していた。一方で、水や塩に対する神経応答は正常だった。UAS-shibjre^<ts1>系統は、温度依存的に神経伝達を阻害できる。この系統を上記P{GAL4}系統と交配し、吻伸展反射行動テストをおこなった。その結果、糖に対する吻伸展応答が低下していた。したがってGFPが発現していた味細胞は糖受容細胞であると考えられる。Gγ1遺伝子に対する2本鎖RNAを組織特異的に発現するUAS-RNAi系統をGγ1遺伝子のP{GAL4}系統と交配し、味覚神経応答を電気生理学的に解析した。この結果、糖に対する神経応答が有意に低下していた。これらの結果から、Gγ1遺伝子は、糖に対する味覚受容シグナルトランスダクションに関与すると考えられた。
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