2003 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
02J08912
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
重橋 のぞみ 九州大学, 大学院・環境学研究院, 特別研究員(PD)
|
Keywords | 精神分裂病 / 統合失調症 / 情動表出 / 情動体験 |
Research Abstract |
情動表出に問題を持つ統合失調症者(以下SC)について臨床実践を用いて検討した。以下、交付申請書の研究実施計画(研究1〜3)に対応させ、今年度の実績を報告する。 「研究1」長期入院中のSCに対し、心理劇の関わりとSCの自発性・非言語的情動表出との関係を検討した。セッションの評定とセッションの特徴を分析した結果、過去に実体験があるなじみやすい場面、親和性のある場面、過去の大切な思い出を取り扱った場面において他者に了解可能な適切な情動表出が増すことが示された。(日本心理劇学会第9回発表論文集掲載;2003)。現在、発表内容を論文へまとめ、投稿の準備中である(情動の平板化ある統合失調症者の自己表現と自発性を促すテーマおよび場面設定の特徴;投稿準備中)。なお、心理劇における情動表出評定スケールついて前年度の学会発表を修正し投稿、受理された(心理劇研究印刷中;2004)。 「研究2」SSTにおけるSCの会話から情動表出のあり方を検討した。その結果、スキルを習得するだけではなく、安心して自己表現できる場をグループが提供し、体験を伴えるロールプレイ場面を行うことにより、非言語情動表出の適切性が増すことが示された(第23回日本心理臨床学会2004:発表予定)。 「研究3」SCの就労支援に対する具体的援助を通し、生活の場におけるSCの情動表出および臨床援助のあり方を検討した。その結果、SCの主体性を重視し、等身大の自己認識を促す関わりが情動表出および就労問題への取り組み方に影響を示す事がわかった(第27回九州集団精神療法研究会発表論文集掲載;2004)。 実証研究も継続し、VTR視聴場面におけるSCの情動表出・情動体験について情動平板化の程度の違いから比較を行った(統合失調者の情動平板化が情動表出と情動体験に与える影響:心理学研究修正査読中)。また健常者とSCの情緒的な刺激の受け止め方、情動体験のあり方について検討し(第68回日本心理学会;2004発表予定)、SCは否定的情動体験に健常者は肯定的情動体験へ反応しやすいことが示された。
|
Research Products
(5 results)
-
[Publications] 重橋のぞみ: "心理劇のテーマと役割が統合失調症者の自己表現に与える影響-情動平板化の程度による比較-"日本心理劇学会第9回大会発表論文集. 9巻. 15 (2003)
-
[Publications] 川上公仁: "デイケアで初めての就労プログラム"第27回九州集団精神療法研究会発表論文集. 27(印刷中). (2004)
-
[Publications] 菅原美穂: "個人評価表を用いての試み〜より治療的な関わりを目指して"心理劇研究. 27巻2号(印刷中). (2004)
-
[Publications] 武藤のぞみ: "VTR視聴に対する統合失調症者と健常者の情動体験の検討"日本心理学会第68回大会発表論文集. 68巻(発表予定). (2004)
-
[Publications] 武藤のぞみ: "就労支援活動を通した統合失調症者の自発性・自己理解・自己表現の変化に関する検討-メンバーの主体性・自己認識を促す就労支援を通して-"日本心理臨床学会第23回大会発表論文集. 23巻(発表予定). (2004)