2002 Fiscal Year Annual Research Report
韓国社会教育発達過程に関する歴史的検討-民衆の教育活動との関連を踏まえて-
Project/Area Number |
02J08949
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金子 満 九州大学, 人間環境学研究院, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 社会教育 / 平生教育 / 韓国 / 自己教育 |
Research Abstract |
日本学術振興会奨励研究員として平成14年4月に採用された後、4月から7月までの間、主に1910年代から1930年代の東亜日報、および朝鮮日報等の新聞記事を翻訳する作業をおこなった。現在、韓国においては、植民地占領期における新聞記事をデータベース化する作業が進んでいる。そこで、主に社会教育に関わる文盲退治運動、成人教育運動、農民夜学、労働夜学などをキーワードとして検索しながら、多くの記事を翻訳した。これらの研究を進めていく課程において、朝鮮における農民の自己教育活動の記録として朝鮮農民社が出版する機関誌『朝鮮農民』の存在を知る。そこで、8月12日から8月21日の9日の間、韓国に行き、史料収集を行う。機関誌『朝鮮農民』は、韓国の社会教育および成人教育、特に農民たちによる自己教育活動の発達過程を知る上で、重要な史料である。これらの史料は絶版となり、韓国の国会図書館にもほとんど存在しないものであったが、東国大学にまとまった史料があることを発見する。これらの貴重な史料を使い、10月に第49回日本社会教育学会で、「植民地統治下朝鮮における民衆の識字教育活動に関する歴史的検討」を発表する。これらの成果を再び整理しながら、2月に日本社会文化学会の学会年報に、「植民統治下朝鮮における言語・文化支配に関する歴史的検討」という題目で投稿した(現在審査中)。また、同時に韓国社会教育・平生教育の特質及び概念を整理する上で、現代の韓国における住民参加型の平生教育実践の調査活動を1月におこなった。これらの成果は、上海の社会教育関係の研究者グループと日本の研究者グループの共同出版本である『国際社区教育論-世界から見た日中の比較研究(仮)』のなかの、「韓国における平生教育政策と地域平生教育の展開」で活かされており、掲載される予定である。以上が本年度の成果である。
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